【テルアビブ=佐藤貴生】イスラエル軍の報道官は28日、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師(64)について「もはや世界に恐怖を与えることはできない」と述べ、死亡を確認したと発表した。ヒズボラも死亡を認めた。軍は27日、ナスララ師を標的に、レバノンの首都ベイルート南郊ダヒエにあるヒズボラ本部を空爆していた。
ナスララ師は30年以上ヒズボラを率いてきたカリスマ指導者で、イスラエルに対する「抵抗の象徴」だった。ヒズボラを支援するイランの最高指導者ハメネイ師は28日、全てのイスラム教徒にイスラエルへの徹底抗戦を呼びかけた。ヒズボラがイランなどと共にイスラエルに大規模な報復攻撃を行う恐れがある。
現地からの報道によると、27日の空爆では少なくとも6人が死亡、90人以上が負傷。ヒズボラ本部は住宅用ビルの地下に設置されており、地下施設への直接攻撃が可能な大型の特殊貫通弾(バンカーバスター)が使用されたと報じられている。
空爆はイスラエルのネタニヤフ首相が27日、米ニューヨークでの国連総会一般討論で演説し、ヒズボラへの攻撃を続ける意向を表明してから間もなく開始された。
米国防総省は同日、空爆について「米国は関与しておらず、事前通知も受けていなかった」とコメントした。