【カイロ=佐藤貴生】イスラエルは30日、パレスチナ自治区ガザの停戦合意に沿ってイスラム原理主義組織ハマスが人質を解放したのに伴い、投獄していたパレスチナ人110人の釈放を始めた。中東の衛星テレビ局アルジャジーラが伝えた。双方の身柄交換は19日の停戦発効以来3回目。
ただ、ガザでは群衆がもみ合うなかで人質が解放され、イスラエルは反発して一時は釈放を遅らせると表明するなど、双方の対立は解消していない。
パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のラマラでは30日夜、パレスチナ人が釈放されるとして多数の住民が屋外で出迎えた。釈放対象の中には重罪で終身刑を受けた者もいるという。
ハマスはこれに先立ち30日、イスラエル人3人とタイ人5人を解放した。タイ人5人は出稼ぎ労働者とみられ、身柄交換の合意の枠外で引き渡されたもよう。
ガザ南部ハンユニスで人質が解放される際には大勢の住民や戦闘員が押しかけ、もみ合うなどして混乱した。イスラエルのネタニヤフ首相は混乱は「衝撃的」だと批判し、安全な形での解放が保証されるまで釈放を遅らせる意向を表明。イスラエル首相府はその後、仲介機関などから同じ事態を繰り返さないとの確認を得たと発表した。