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保守票が分散、改革求める声は予想以上に イラン大統領選、決選投票の背景

産経ニュース 2024年6月30日 13時3分

【テヘラン=佐藤貴生】イラン大統領選は開票の結果、過半数を得票する候補がおらず、欧米との融和を模索する改革派と保守強硬派の上位2候補による7月5日の決選投票に持ち越された。保守強硬派の有力2候補が出馬に固執して一本化できず、票が割れた。保守強硬派が主導する政治への不満が予想以上に膨らんでいたことも、改革派の躍進につながった。

選管によると6月28日の選挙は4人で争われ、改革派のペゼシュキアン元保健相が1041万票を獲得し、得票率42・45%でトップとなった。保守強硬派のジャリリ最高安全保障委員会元事務局長は947万票(得票率38・61%)で2位、同じく保守強硬派のガリバフ国会議長は338万票(得票率13・78%)で3位だった。

投票率は大統領選としては過去最低の約40%を記録した。低投票率なら組織票が強固な保守強硬派が有利とみられていたが、ジャリリ、ガリバフ両氏が出馬辞退を求める調停を拒否したとみられ、票を食い合う結果となった。

また、ペゼシュキアン氏が首位に立ったのは、「保守派の支持者の一部が改革派に乗り換えたからだ」(テヘラン在住の30代男性)という指摘も聞いた。

イランでは米制裁の下、通貨リアルの価値下落や物価高に歯止めがかからず、市民生活は厳しさを増すばかりだ。2年前には頭部を覆うスカーフ(ヘジャブ)の着用義務に反発した女性らが反発、大規模デモに発展した。暮らしに直結する問題が深刻化し、保守派の支持層の投票行動に変化が起きた可能性がある。

イランの政治・経済に詳しい評論家のサイード・レイラズ氏は29日、首都テヘラン市内で産経新聞の取材に応じ、「ペゼシュキアン氏は予想以上に票を集めた。決選投票では保守票の多くが彼に流れると思う。1回目の投票を見送った有権者も、決選投票では彼に投票するだろう」とし、改革派が3年ぶりに大統領の座を奪回する可能性が大きいと予測した。

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