憧れの甲子園球場で行進する若者たち。高校のユニフォームに身を包んでいますが…彼らは全国から集まった高校野球部のOBです。
(選手宣誓)
「2020年5月20日 甲子園大会が中止となった日のことを私たちは忘れません」
2020年。新型コロナウイルスの流行により様々な大会やイベントが中止となる中、高校球児の夢であった「夏の甲子園」も中止となりました。
そんな中、各地の高野連が独自大会を開催し、静岡県内では浜松市の聖隷クリストファー高校が優勝しましたが、甲子園でプレーする夢は叶いませんでした。あれから3年が経ち、当時の高校球児たちが甲子園の土を踏む機会が訪れたのです。
その名も「あの夏を取り戻せプロジェクト」 。
夢を叶えられなかった当時の高校球児が全国から集まり、阪神甲子園球場で試合をしようというもので、当時の高校3年生の有志が企画しました。約700人、42チームが参加。会場には聖隷クリストファー高校の野球部OBたちの姿も… シートノックでノッカーを務めるのは上村敏正監督です。
(聖隷クリストファー高校野球部 上村敏正 監督)
「甲子園はなかなか来られる場所ではない。彼らが目指してやってきたのは、ここで試合をすることだと思う。試合はできないがグランドの土を踏めるのは一生の思い出になると思う」
当時、4番でキャッチャーだった大橋琉也さん。現在は病院のスタッフとして働きながら野球を続けています。
待ちに待った瞬間。ユニフォームは泥だらけです。
(聖隷クリストファー高校野球部OB 大橋琉也さん)
「本当に楽しくて、ここで野球ができるという喜びで動け た。みんなの顔を見れたのですごくうれしかった、本当に感謝です」
3年ごしの“甲子園”とあって、スタンドには保護者の姿も…
(参加者の母親)「感動でしかありません、感無量です」
(参加者の父親)「大会で優勝して出られなかった分、ハツラツなプレーを見れてうれしかった」
そして選手宣誓は聖隷クリストファーOBの大橋さんが務めました。
(聖隷クリストファー高校野球部OB 大橋琉也さん)
「過去の全てを取り戻せないことを私たちは知っています。それでも未練に終止符を打ち、これからも続いていくそれぞれの人生に向き合うために私たちはこの夏にこだわり抜きます」
聖隷クリストファーのOBは30日、兵庫県の高砂市野球場で、長崎の大崎高校OBと対戦するということです。
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