川勝知事が「三島に東アジア文化都市の継承センターを置きたい」「詰めの段階」などと発言した問題をめぐり、県議会は発言の訂正を求める決議案を全会一致で可決しました。議員全員から“発言の訂正”を求められた川勝知事の返答は…。
(議長)
「東アジア文化都市2023に関連し、発展的に継承する拠点を三島市内に置きたい旨の知事の発言に関する決議案を採決します」 「本決議案は議案通り可決することに異議はありませんか?」
(議員)「異議なし」
(議長)
「異議なしと認め、本決議案は原案通り可決されました」
6日の県議会で、全会一致で可決したのは「知事に発言の訂正を求める」決議案です。川勝知事は10月の経済界との懇親会の中で、三島市の国有地に「東アジア文化都市の発展的継承センターを置きたい」「土地を物色している」「詰めの段階」など具体的な発言していました。
県議会ではこの発言を問題視し、総務委員会では国有地を管理する東海財務局と県との打ち合わせ記録があきらかになりました。記録によると、東海財務局と県との3回の打ち合わせの中で、県は「構想段階であること」を繰り返し伝えていて、東海財務局からは「県が方針を決定してくれないと我々は動けない」と何度も伝えられていました。さらに、知事が発言した「東アジア文化都市の継承センター」という内容は一度も出ておらず「詰めの段階」とはほど遠い状況であることが明らかになったのです。
これを踏まえ、総務委員会は「知事の発言と事実には乖離がある」として、発言の訂正を求める申し入れ書を手渡しました。しかし、先週の県議会で川勝知事は…
(川勝知事)
「私はこの申し入れを真摯に受け止めております。今回の私の発言は、東アジア文化都市のレガシー創出に向けた思いを語ったものであり、現時点で何も決まっておりません。そのため訂正は致しませんが、今後、県議会の皆さまをはじめ、広く議論していただければと思います」
これを受け、最大会派の「自民改革会議」は、本会議で、発言の訂正を求める決議案を提出するため、ほかの会派と調整を進めていました。そして、6日の本会議では「県議会議員全員の名前で」発言の訂正を求める決議案が提出され、全会一致で可決されました。
知事は、可決後に決議文を議長から直接手渡されましたが、何も答えずにその場を去りました。その後に行われた自民党会派の代表質問では厳しい追及が。
(自民改革会議 江間治人 県議)
「開会日の『真摯に受け止めるが訂正はしない。今後広く議論していただきたい」と、議案の説明があったが全く意味がわかりません」「神聖な議場でうそをつく。議会を軽視した知事に、暴言や失言以上に強い憤りを覚えるのは私だけでしょうか」
(川勝知事)
「総務委員会からの私の発言に関する申し入れにつきまして、真摯に受け止めています。一方で何をしたいか、どうしたいかというビジョンを示すことは、県政を預かる者の仕事であります。私の発言は東アジア文化都市のレガシー創出に向けた私の思いを語ったものであり、現時点で何も決まっていません」
「しかしながら今回の県議会の決議を重く受け止めます。県議会を大切にする考えは全くいままでと変わりありません。今般、県議会においてこのような決議をいただく状況になったことについて、申し訳なく思うところであり心よりお詫びいたします」「今回の三島市内における東アジア文化都市の継承拠点の件は、いったん立ち止まることとし、白紙といたします」
「東アジア文化都市の継承センター」については一旦白紙にすると話し、謝罪をしましたが、議会から求められた「発言の訂正」については触れませんでした。議会での答弁後、川勝知事は…
(記者)
「訂正はしないのか?」「(答弁が)県民にはわかりづらい、訂正はしないということ?」
なぜ訂正しないのかという問いかけに答えることはありませんでした。一方で、自民改革会議の増田代表は「構想は白紙」としたことに一定の理解を示しました。
(自民改革会議 増田享大 代表)
「議会全体の総意を重く受け止めていただいた。『詰めの段階』発言は受け取る側には具体的な話で混乱していた。混乱を収める意味でも『白紙』という発言は重かった」
知事から発言の訂正はなかったものの、6日の決議をもって、この問題は「一区切り」との認識を示しました。
(自民改革会議 増田享大 代表)
「他会派の気持ちもあるし、状況は見なくてはいけないが、全会一致の決議ということなので、一定のポイントだと思っている」
またも知事の問題発言をきっかけに大きく揺れた県議会。知事との緊張状態は今後も続きそうです。
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