”5点の衣類”は、袴田さんが犯行時に着ていたものだとされ、死刑判決の決め手となった証拠です。一方で、再審開始の決定では、静岡地裁と高裁が共に、捜査機関によりねつ造された可能性を指摘した証拠でもあり、最も重要な争点です。
11日の公判で、弁護団はこの5点の衣類について「犯行着衣ではなく」「袴田さんのものでもない」と検察の主張に反論、捜査機関がねつ造したものだと主張しました。
「犯行着衣ではない」理由として…ズボンには不鮮明な血痕しかついていないのに、その下に履いていたステテコには大量の血がついていて不自然、また1年2か月、みそにつかっていたのにみその色に染まっていない。こうした理由から捜査機関によるねつ造の可能性があると指摘しました。11日の裁判では証拠として、実物が示されました。
「袴田さんのものではない」理由として…そもそも、このズボンはサイズが小さく、袴田さんは、はくことができませんでした。検察は、袴田さんが事件発生後から体重が増えたことなどから、はけなかったと指摘していますが、弁護側はこれを否定し、捜査機関がねつ造したものだと指摘しています。
Q:5点の衣類に関する弁護団の主張で、あらためて捜査機関のねつ造の可能性を指摘していますが、どう思われますか?
(若狭 勝 弁護士)
「弁護団が主張していることは、確かにそのようなことかなと伝わり方はしてくるが、裁判では証拠、主張を裏付けをすることが必要となる。きょうは、最大の争点である「5点の衣類」については、主張をぶつけ合っているという話、今後どう立証していくかが大事」
Q:弁護団は、この5点の衣類が有罪判決の決定的証拠とされたにも関わらず、再審請求審では2度、“ねつ造”の可能性が指摘され、さらに検察の立証方法も、確定審から何も変わっていないと主張しています。これについてどう思われますか?
(若狭 勝 弁護士)
「検察としては、自分たちの主張は問題ないと思っているわけですから、もう一度蒸し返しのかたちになっても、検察はそれが全てだという主張だと思う。いずれにしても、来年、専門家の証人尋問で着衣について、本当に1年2か月つかっていたとすれば、血痕の色が変わっているのではないかというのが、最大のポイントになる」
5点の衣類についての証人尋問は年明けに行われる予定です。
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