発がん性が指摘される化学物質「PFAS」が静岡市清水区の化学工場周辺で検出されている問題で、静岡市は、隣接する雨水ポンプ場の排水から、最大で国の目標値の220倍の「PFAS」が検出されたと発表しました。本来、考えにくい雨水の排水からなぜ「PFAS」が検出されたのでしょうか。
(静岡市 難波市長)
「私の推定が誤っていた。まさか雨水の濃度が高いとは。非常に大問題である」
12日の会見で、PFASの調査結果を「大問題だ」と話した静岡市の難波市長。
発がん性が指摘される化学物質「PFAS」をめぐっては、静岡市清水区三保の「三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場」の周辺の水路や井戸水から、10月の市の検査で国の目標値を超える濃度が検出されました。そして12日、難波市長は追加調査の結果、工場の近くにある三保雨水ポンプ場の排水から、最大で国の目標値の220倍の「PFAS」が検出されたと発表しました。
(静岡市 難波市長)
「当初、工場からの排水を問題にしていたが、静岡市の雨水ポンプ場から出ているPFAS濃度が高いことがわかった」
雨水ポンプ場は、周辺の雨水を地下の水路を通じて、ポンプ場に集めてから海に排出するものですが、難波市長は、高濃度のPFASを含む工場内の地下水が、破損した雨水管に浸透し、雨水ポンプ場に流れ込んだ可能性が在ると説明しました。
(静岡市 難波市長)
「健全であれば、地下水は入ってこないが、問題があって地下水が入ってきている。入らないように補修をするための調査をしているところです」
その他、追加調査では、折戸地区の井戸で、最大で国の目標値の約7倍、駒越地区の井戸で最大で約4倍の濃度が検出されたことも明らかにしました。その上で、難波市長は、三保地区のほか、折戸地区や駒越地区の井戸水の飲用は控えてほしいとしつつ、「水道水の使用は問題がない」と呼びかけました。
(静岡市 難波市長)
「水道水を飲んでいる限りは、健康への影響はない。過度な心配はしていただかなくてもよい」
(スタジオ解説)
改めて、今回、工場内の高濃度のPFASが雨水ポンプ場の排水から検出された経緯について見ていきます。
三保雨水ポンプ場はPFASが使われていた工場の北側に位置していますが、本来は、工場内の地下水が、雨水ポンプ場に流れ込むことはありません。しかし、三保雨水ポンプ場の排水からは、最大で国の目標値の220倍のPFASが検出されていて、難波市長は、高濃度のPFASを含む工場内の地下水が、こちらのコンクリート製の雨水管の破損した部分から浸透し、雨水ポンプ場に流れ込んだ可能性があると説明しました。市は、今後、この対策として、PFAS濃度の高い雨水を活性炭を使って処理して流すことや、破損した雨水管の補修を検討しています。
この他、追加調査では、工場から離れた折戸地区、駒越地区でも、井戸水から最大で国の目標値から4~7倍の PFASが検出されたと発表しました。なぜ、この2つの地区で検出されたのか、現時点で理由がはっきりとわからず、市では「井戸水を飲むのは控えてほしい」と呼び掛けています。水道水は、問題はないということです。
静岡市は、PFASに関する電話相談窓口を設けたほか、ホームページで調査結果や今後の対応など情報提供するということです。
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