12日の静岡県議会でリニア問題の解決策として「部分開業」をあげた川勝知事。この案については2022年「出来ないことが分かった」として持論を取り下げていましたが、13日の会見で「JR東海の社長が変わったので実現可能性がある」と発言の意図を説明しました。
一般質問の最終日となった12日の県議会。自民党会派の議員は、知事が発言した「リニア問題の解決策」について「ルート変更を意識しているのか」と問いただしました。
(中田次城議員(自民)
「私がJRの意思決定者であれば、川勝平太とひざを突き合わして話せばその場で解決策を出す自信がある、JRはこういう風に県はこういう風に考えているとはっきりさせればこの問題は進むんだその答えを私はもっているんだと発言された。知事自身が言った解決策はルート変更を意識して言っているのか?」
(川勝知事)
「ルート変更ではないのかとありましたが、(ルート変更では)ありません。現在のルートを前提として期成同盟会に入っている」「丹羽社長とは話ができていません。意思決定者は私ではありません私がそれ(解決策)を言うのは失礼。資格がない。私一人では決められるものではないというのが結論です」
「ルート変更」について否定しましたが「リニア問題の解決策」という質問に明確な答えは示しませんでした。さらに…
(川勝知事)
「現在はコロナ、エネルギー資材の高騰、1.5兆円の増資、財投、これは2011年に国交省がJR東海に認可をした事情とは大きく異なっている。従って一旦とどまって改めて考え直す必要があるというようなことは、ぜひ丹羽社長とも膝を交えて話すことができればと考えている」
「一旦とどまって改めて考え直す必要がある」と、建設反対とも取れる発言もしたのです。質問と答弁がかみ合わず、議会は一時中断。その後の再質問で川勝知事は「自身が考える解決策」について持論を述べました。
(川勝知事)
「現行ルートを前提にした上で、開通できる状況になった部分から開通させるということが、営業実績となり、解決策になると考えている」
川勝知事は、リニア問題の解決策は「部分開業」だと明言したのです。しかし、この「部分開業」については、川勝知事が2022年11月にリニア新幹線に試乗した際、JR東海側から「リニア新幹線を動かすための『変電所』が神奈川県にない」との説明を受け「できないことが分かった」として持論を取り下げていました。再び「部分開業」を持ち出したことについて13日の会見で聞かれると…
(川勝知事)
「(去年11月に)30キロごとに変電所がいると(前社長の)金子さんが仰った。変電所を作る意思も予定もないと」「それをやるかやらないかは会社の意思じゃないでしょうか。今度は社長が変わられたので変わる可能性もある」
JR東海の社長が変わったため再び案として述べたと主張。その後も「部分開業の実現可能性」について持論を展開しました。
(川勝知事)
「(JR東海は)やらないんです。やれないじゃなくてやらないんです。意思が変われば、できるところからやっていくのも一つの方法でしょう」
一方、12日の県議会で「一旦とどまって考え直す必要がある」という発言については…
(川勝知事)
「急がば回れという言葉もあるので予測不可能なことに面する前に期成同盟会のメンバーも生態系に関わる問題について全員が(国の環境保全対策の報告書を)読んでいただいてどういうふうに対処したらいいかご意見いただきたいと思っている」
12日の発言は、リニア促進を目指す期成同盟会の考えに反するものではなく、国の有識者会議による環境保全の報告書に基づいて「期成同盟会として慎重に考えるべきという趣旨だった」と、釈明しました。リニア問題への発言で波紋を広げ続ける混乱は、まだまだ続きそうです。
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