袴田巌さんの再審=やり直しの裁判の7回目の公判が静岡地裁で行われました。弁護団は、16日に引き続き、犯行着衣とされた5点の衣類がねつ造されたものであると主張したほか、取り調べの録音テープの音声を流し、自白は強要されたものだと訴えました。
(佐野 巧 記者)
「第7回公判に向け、弁護団が裁判所に入ります」「昨日に引き続ききょうも多くの支援者が集まっています」
16日に続き、2日連続で開かれた袴田さん再審の第7回公判。17日朝も、浜松市内から静岡地裁へ向かう袴田巌さんの姉ひで子さん。
(袴田 ひで子さん)
「初めて聞くこともあって本当に勉強になりました。自分の家のことだけど、えん罪の恐ろしさを感じました」
1966年、旧清水市で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん。
2023年10月から始まった再審公判で検察側は「犯人はみそ工場関係者の袴田さんで、犯行着衣の5点の衣類をみそタンクに隠した」などと袴田さんの有罪を主張。
一方、弁護団は「事件は強盗殺人ではなく、犯人の恨みによる殺人で、複数人による犯行」などと指摘し、無罪を主張しています。
17日の公判では、袴田さんの取り調べの様子がわかる録音テープが法廷で流されました。
(袴田さん)
「あんたがたね、ほんとに自信をもって言っているけどね、他に犯人が挙がったらどうする?」
(取調官)
「他に犯人が挙がったら?ないよ、挙がりっこないよ」
(袴田さん)
「いや必ず挙がる」
連日長時間に及ぶ取り調べは、長い日で16時間以上に及び、自白2日前には、トイレに行かせず取調室に便器を持ち込むことも。
(袴田さん)
「小便行きたいんですが」
(取調官)
「便器を持ち込んでやらせろ」
そして、逮捕から20日目、袴田さんが自白しました。
弁護団は、こうした取り調べの録音テープから自白の強要などを主張、袴田さんを犯人と決めつけて捜査が進んでいたと訴えました。さらに、弁護団は再審公判の最大の争点である「5点の衣類」の血痕の色の問題について言及しました。
事件から1年2か月後に味噌タンクから発見され、犯行着衣とされた「5点の衣類」は、生地に付くはずのみその色が薄く、付着した血痕の色に赤みが残り不自然な色であると、専門家の鑑定などをもとに化学的な根拠を示しました。
検察の主張する「血痕に赤みが残る可能性」があるという主張は合理的な立証ではないとして、「5点の衣類」はねつ造された証拠だと強く訴えました。
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