17日の袴田巌さんの再審=やり直しの裁判では、最大の争点とされる衣類についた「血痕の色」について審理が行われました。裁判の行方の見守った姉の ひで子さんは…
(袴田ひで子さん)
「一山も二山も越した、胸を張って聞いていました。勝利は目に見えている」
17日の公判後、無罪判決への自信をのぞかせました。
1966年に旧清水市で一家4人が殺害された事件で、死刑判決を受けた袴田巌さんのやり直しの裁判は、17日、最大の争点ともいわれる「5点の衣類」の「血痕の赤み」について審理されました。
衣類は、事件から1年2か月後に現場近くのみそタンクの中から見つかり、衣類についた血痕には一定の赤みが残っていました。
検察側は独自の実験から血痕の「赤みが残ることはある」と主張していますが、17日の公判では弁護団も独自の実験結果などを示し「1年以上みそ漬けにすれば血痕の赤みが消える」ことから、5点の衣類は「短時間みそに浸かっただけで、ねつ造された疑いが極めて高い」と反論しました。
「5点の衣類」をめぐっては、2023年3月に再審開始を認める決定を出した東京高裁も「ねつ造の可能性」を指摘していて、再審の場で同じ議論が行われることに、弁護団は「議論の蒸し返し」だと批判しています。
(袴田さんの弁護団 間 光洋 弁護士)
「決着のついた議論を長々とやって、裁判が長期化している理不尽は許せない。本当に怒りを禁じえないと思っている」
また17日の公判では、袴田さんの取り調べの録音テープが初めて法廷で流されました。
(袴田さん)
「あんたがたね、ほんとに自信をもって言っているけどね、他に犯人が挙がったらどうする?」
(取調官)
「他に犯人が挙がったら?ないよ、挙がりっこないよ」
(袴田さん)
「いや必ず、挙がる」
録音テープには犯行を否認していた袴田さんが、連日の長時間に及ぶ取り調べで、繰り返し自白を迫られる様子が記録されていました。
(取調官)
「今度の事件は君がやったけれど、話したくないのか?どうだ、言ってみろや、袴田、袴田。なぜ黙ってるんだ?ん?言ってみりゃいいじゃないかよ」
取り調べは1日平均12時間、合わせて430時間を超えていたとされています。法廷で録音テープを聞いた姉・ひで子さんは。
(袴田ひで子さん)
「巌が刑務所にいるとき、どういう調べ方をされたかと聞いたが、多くを語らなかった。実際に刑事などの調べ方をまざまざと感じて、こんなひどい目にあっていたと改めて思った」
当時の取り調べについて、静岡地検の奥田洋平次席検事は17日「現代の司法基準に照らし合わせれば不相当」とコメントしています。
次の公判は2月の14日と15日に開かれる予定です。
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