最大震度7を観測した能登半島地震。特に石川県には甚大な被害をもたらしましたが、同じ北陸地方の新潟県では、道路が大きく歪んだり盛り上がったりする「液状化」が広く発生し、深刻な問題となっています。この「液状化」、大地震の際、静岡県内各地でも起こり得ることなんです。
正月の団らんを突然襲った大きな揺れ…。新潟県でも最大震度6弱を観測しました。防犯カメラの映像では…。
午後4時10分。地震の瞬間、大きく揺れ動く歩道橋や電線…。駐車場では地面の一部が盛り上がり、亀裂が入りました。しばらくすると、あふれてきたのは、水。地面から徐々に染み出し、道路はあっという間に泥水に浸ってしまいました。地震の揺れが液状化を誘発したのです。
地面が陥没し、溢れ出した水に浸かった車。道路には亀裂や段差ができ、住宅には土砂が流れ込みました。
こちらのビジネスホテルでは…
「ここが普通に歩けていたはずなのに」
Q:この段差は今までなかった?
「なかったです。ここも開かなくなっている」
大きく盛り上がった歩道。住宅街ではいたるところから泥水が噴き出していました。
「液状化」は県内でも、大きな地震が発生した際、各地で起こり得る現象でなのです。
(川口 卓也 記者)
「こちら、南海トラフ被害想定ですが、液状化の可能性があるところが色付けされていて、静岡市や浜松市にも色が塗られています」
県の被害想定によると、県内面積の約1割で液状化が発生する恐れがあり、その可能性が高いエリアは沿岸部や河川の周辺。その中でも、液状化が発生する可能性が特に高い地域の一つのが袋井市です。袋井市では、市の独自の調査などから、市内の半分以上、約52%で液状化が発生する可能性があることがわかっています。
長年この地域の地質を研究し、市の液状化ハザードマップの作成にも協力した青島晃さんは、市民アンケートや現地調査を行い、1944年に起きた大地震、東南海地震の液状化被害をまとめました。
(ふじのくに地球環境史ミュージアム 客員研究員 青島 晃 さん )
「発生が特定できたところをシールを貼った地図。もともとこの地域は厚い泥の層が深さが40メートル堆積している。もともと浜名湖のような湿地で、そこに厚く泥が堆積している。その上に太田川が流れてきて、泥の地盤の上に砂礫(されき)の層がある。泥の地盤が大きく揺れるので、上の堆積物も動いて液状化が起こる」
液状化は、地下水が多い砂質の地盤で起こりやすく、地震の揺れで地下水が噴出、地盤が液体状になる現象です。
青島さんによると、厚い泥の層がある場所は、地震の揺れが他の地域よりも強くなるといいます。そして、泥の層の上に太田川などによってできた砂礫の層があり、その層が大きく揺れるため、液状化が起きやすいというのです。
こちらは80年前の東南海地震を経験した市民へのアンケート。「道路は水浸し歩いて通れない」「水田の地下より噴水」…当時も被害が大きかったことが分かります。
袋井市では対策も。液状化による建物の被害を軽減するために建築士を紹介してもらる相談窓口を設置しています。
青島さんは、条件が当てはまれば、液状化は県内のあらゆる場所で発生すると話します。
(ふじのくに地球環境史ミュージアム 客員研究員 青島 晃 さん )
「沿岸に沿った場所は砂質の地盤。現在の川筋、昔の川筋、自然堤防という砂質地盤が多いので、地下水位も高く液状化が発生しやすい。液状化のハザードマップを各市町や県で作っているので、自分の家がどんな地盤の上にあるか知ってもらえれば。どれくらいの被害が発生するか判断できると思う」
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