能登半島地震の被災者に無料で車の貸し出しを行っている団体が静岡にあります。現在、急ピッチで準備が進められいて、作業が終わった車から順次、能登半島に運ばれています。
富士市にある「日本カーシェアリング協会静岡支部」。1月19日、被災地に車を運ぶボランティアが車を取りに来ました。
(富士市のボランティア 谷口和也 さん)
「災害があった所はどうしても車が必要だと思う。今、一般のボランティアはまだ受け付けていない、少しでもと思い、使える車を運ぼうと思った」
片道 約470キロ、通行できる道路を現地に確認。6時間はかかる道のりを、1人で運転します。
(富士市のボランティア 谷口和也 さん)
「ちょっと思い出の場所なんですよ、中学の頃、旅行に行った、去年も和倉温泉に行っているんです」
車を届けたらすぐに公共の交通機関で帰る予定で、交通費は自腹だということです。
日本カーシェアリング協会は、東日本大震災を機に宮城県石巻市で設立されました。2022年の台風15号では、静岡市に臨時の拠点を置き、浸水被害にあった被災者を支援。2023年5月には、富士市に支部が創設され、直後に発生した台風2号では迅速な対応で被災者の生活再建に役立てられました。
被災を証明できるものを提示すれば無料で利用でき、片付けに役立つ軽トラックのほか、乗用車は、長期での利用も可能です。
現在、静岡支部には、寄付などで集まった軽トラックや乗用車などが40台ほどあり、全て能登半島へ運ぶ予定だということですが・・・
(日本カーシェアリング協会 静岡支部 森 政文 さん)
「静岡はノーマルタイヤがほとんど、タイヤメーカーなどいろいろな協賛をいただいて、そのタイヤを履き替えて石川に運ぼうとしている」
近所のガソリンスタンドには、寄付されたスタッドレスタイヤが山積みに。ホイールが届いたら、順次交換し、ボランティアのドライバーが石川県へ運ぶ予定です。
この日はもう1人、石川県へ向かうというボランティアが。東京から駆け付けた安藤さん、古い車に乗るのが趣味で、車を運ぶためのトラックを所有しています。
(東京のボランティア 安藤二七三 さん)
「『運びたい車があるけど、トラック空いているか』と(言われ)『空いていますよ』と、きょう、初めてここに来ました。珪藻土の“切り出し七輪”という、とてもおいしく焼ける七輪が能登半島でしか今作っていなくて、それを買いに何回か珠洲まで行っているので」
安藤さんは東日本大震災以来、全国各地でボランティア活動をしてきました。今回の震災もいつでも行けるようにと準備していたそうです。
(東京のボランティア 安藤二七三 さん)
「これから本格化していくと思うので、いつでもスタンバイという感じです、いつでも何往復でもします」
石川県では七尾市に拠点が設けられています。10日に受付を開始して以来、23日までに約400件の申し込みがありましたが、現在、車は49台しかなく、需要に追い付いていない状況です。
現地のスタッフに話を聞くと…
(日本カーシェアリング協会 西條里美 事務局長)
「道路の割れ、隆起がものすごくひどい、(車を)運ぶ上でネックになっている。被災地まで陸送会社の大きい車が入れないというのが、支援が遅くなっている要因」
このほかに、ボランティアが車を運んだあと、帰る手段がなかったのもニーズに追いつけていない要因だといいます。
被災地の生活再建に欠かせない車。協会では27日に能登町にも臨時拠点を設ける予定で、貸し出す車の台数を増やそうと急いでいます
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