本線の半分の区間で運休が続いている大井川鉄道を後押ししようと、静岡・川根本町の住民らによる有志団体が、24日、関係者を集めた情報交換会を開きました。不通区間の沿線では、観光客の減少によって深刻な影響が出ています。
2022年9月に発生した台風15号の影響で、一時全ての区間で運休するなど甚大な被害を受けた大井川鉄道。約40キロにわたる本線のうち、現在も約半分の区間で運休が続いています。全線復旧には約22億円の費用がかかり、自社だけでは賄えないため、未だ復旧の目途は立っていません。
そうしたなか、24日、川根本町の町民らによる「全線復旧を支援する会」が意見交換会を開きました。会には県や川根本町の職員、観光などの関係者や大井川鉄道の鈴木社長が参加し、鉄道の運休による影響などの情報を共有しました。
(観光組合の代表)
「日帰りのバス旅行が主流となって、宿泊客が減少しています。町の観光への波及効果は、多大なマイナスとなる」
(川根本町議会 石山 貴美夫 議員)
「観光客の車が非常に減っていると実感しています」
大井川鉄道の鈴木社長は「今は鉄道の存続のため、復旧した区間で、経営体力を維持することに全力を尽くす」と話します。
(大井川鉄道 鈴木 肇 社長)
「大井川鉄道の復旧に対して、これだけ多くの皆さんが集まっていただいたことに大変感謝している。(今は)自らができるだけのことを一生懸命やるしかない」
この会にも参加した「持続可能な寸又峡づくり実現の会」の発表によると、2022年の台風による一部区間の運休により、2022年10月から2023年3月の半年間で、鉄道の乗客数が5万5000人減少し、鉄道収入として1億2200万円が減少したということです。また、SLの乗客が訪れる観光地として人気の「寸又峡温泉」の宿泊客数は、半年間で1万人の減少、宿泊費として1億5300万円の収入が減りました。
SLやトーマス号など、これまで観光資源として大きな存在感を放ってきた大井川鉄道。「SLが走らなくなった町」には深い爪痕が…
川根本町の食堂「四季の里」。SL撮影スポットの近くということもあり、以前は多くの鉄道ファンでにぎわっていたといいます。
(四季の里 嶋 育子 さん)
「大井川鉄道が走っていないということで、お客さんも少なくなって売上も半分ぐらい減っている」
こちらの店では営業時間も短縮せざるをえなくなりました。
(四季の里 嶋 育子 さん)
「大変なので訪問販売してます。そうしないとやっていけない」
行政からの支援がなければ、全線復旧は絶望的な状況の大井川鉄道。現在、県では、大井川鉄道の在り方について検討する会が開かれていて、支援について年度内に一定の方針を示す予定ですが、鉄道会社だけの問題ではなく、地域全体の問題として、強力な支援が求められています。
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