リニア問題をめぐり、「事実誤認」と異例の会見を開いたJR東海に対し、29日に「データに基づいている」と反論した静岡・川勝知事。両者の溝は深まり続けています。
(川勝知事)
「事実誤認という言葉が一人歩きしないようにしてほしい。何の事実を誤解しているのか、明確に質問してほしい」
29日の会見で、記者からも「事実誤認がある」と指摘されたことに対し、強い口調で反論した川勝知事。
リニア新幹線をめぐっては、トンネル工事に伴う環境への影響を懸念し、県は静岡工区の着工を認めていません。
JR東海は2023年12月、静岡工区の着工の見通しが立っていないことから、リニア新幹線の開業時期をこれまでの「2027年」から「2027年以降」に変更する申請を国交省に提出し、認可されました。
これに対し、川勝知事は年始の会見で、全線開業予定の「2037年までに問題を解決すればいい」との解釈を示しました。さらに、独自に主張してきた“部分開業論”についても「2027年までに甲府から東京までの間は開通できる」と主張しています。
知事の唱える「2037年までの解決」と「部分開業論」について、JR東海は、先週「事実誤認がある」として異例の会見を開き、反論しました。
(JR東海 木村 中 専務)
「当社が進める中央新幹線について、静岡県知事から様々な発言があり、私どもも大変困惑している状況。限定的に開業する場合でも、車両基地や指令の設備の整理が必要となってくるし、試運転の運営の確認すべき事も色々あるので、現実的ではない」
JR東海は、川勝知事の独自の主張に繰り返し反論した上で、正確な理解を求めました。
(JR東海 木村 中 専務)
「事業の内容や計画の内容など正確に認識した上で発言してもらいたい」
JR東海からの「事実誤認」の指摘に対し、川勝知事は29日の会見で「状況が変わってきている」などと反論。「事実誤認はない」として、これまでの主張を繰り返しました。
(川勝知事)
「特段、事実認識に何か誤りがあって発言しているのではなくて、2027年以降に名古屋まで開業を延ばすのは、事業計画に大きな変更があるということで、国交省に申請している。そして、12月28日に正式に認可された。JR東海の事業計画が2010年とは根本的に違ってきた」
さらに、川勝知事は「データに基づいていて発言している」と説明し、自身の発言に誤りはないと自信を見せました。
(川勝知事)
「自分の好き嫌いで言っているのではなくて、事業主体であるJR東海が公の場所に出したデータに基づいて発言している」
記者からは、JR東海が示した「見解」に持論を組み合わせ、「誤解させるような発言を繰り返している」との指摘がありましたが…
(記者)
「事実と知事の考えを分けて話すつもりはないのか?」
( 川勝知事)
「そういう風に言っているつもり。自分の考えをデータに基づき申し上げている。根拠を出して申し上げている」
事業主体であるJR東海からの「事実誤認」の指摘に対し、持論を主張し続ける川勝知事。リニア問題の解決に向けて、両者の溝が埋まることはあるのでしょうか。
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