インターネットにウソの広告を出したなどとして、レッカー業を営む男が再逮捕された事件。被害者を訴えている人は173人に上ります。私たちは被害にあった女性から、犯行の一部始終をとらえた映像を入手しました。
(レッカー業者)
「約束を守っていただけなかったので、あなたの約束を僕が守る必要もない」「失礼します」
(被害女性の母)
「消費者センターと弁護士に連絡しますので」
(レッカー業者)
「どうぞやってください」
高額な費用を請求し、客が支払えないと訴えると突き放すような言葉をかけてその場から立ち去る業者。この業者から被害を訴えている人は、173人に上ります。
この業者をめぐっては、警察が1月、代表を務める容疑者の男(40)を不正競争防止法違反と詐欺の疑いで再逮捕しました。
男は2022年6月から約1年間、自身が代表を務める会社のレッカー業務で、ウェブサイト上に客に事実を誤認させる広告を表示した疑いなどがもたれています。
無許可でレッカー業を営んだとして、すでに道路運送法違反や詐欺などの罪で起訴されている男。逮捕されるまでの1年半で、約4500万円を売り上げていたとみられています。
私たちは、男が代表を務める業者の被害にあったという女性に話を聞くことができました。
(被害にあった女性)
「パンク・レッカーでネット検索して、一番上に出てきて、そこに電話しました」
2023年4月、女性は車を運転中に道路の縁石に乗り上げてしまい、近くの修理工場に運んでもらうため、この業者にレッカーを依頼しました。
(被害にあった女性)
「サイトには最短5分と書いてあったが、(到着まで)1時間くらいかかると言われた」
女性は、スマートフォンでレッカー業者を調べたところ、この業者が検索結果の上位に表示されたといいます。ところが、業者が現場に到着すると、いきなり“高額な料金を”提示されたということです。
(被害にあった女性)
「高すぎるよ、そんなかかるはずない。10万を超えることはないでしょと」
女性が請求された料金は、相場の10倍近くにあたる17万円。高額な請求に疑問を感じた女性は母親を呼び、業者と話し合いましたが…
(レッカー業者)
「異議ががあれば異議を解決しないと終わるわけにはいかないので」
(被害女性の母)
「ずっと話し合いじゃないですか、お金払ったのに。いいんですか、それで?」
(レッカー業者)
「それ以上、拘束されるようでしたら作業時間がかかってきますので」
(被害女性の母)
「作業何もないじゃないですか、お金払ったから」
(レッカー業者)
「話しているのだって作業ですよ、ボランティアでやっているわけじゃないので」
少なくとも1時間ほどはかかったという話し合いの時間も“作業時間”として加算され、最終的には24万円を超える料金を請求されました。女性は疑問が残ったものの、この場をおさめるため一人暮らしを始めるために貯めてきたお金で、全額支払ったといいます。
(被害にあった女性)
「引っ越しで貯めていたお金が家にあったので、払って母の車で帰っている時も泣いちゃって。信じた自分がばかだなってめっちゃ悔しかった。許せないです」
悪徳レッカー業者による巧妙な手口。警察が事件の全容解明を進めています。