能登半島地震を受け、似たような地形の伊豆半島では、住民の危機意識が高まっています。先日、地震災害で孤立する危険性もある静岡・西伊豆町で、地域住民で避難所を運営する訓練が行われました。
西伊豆町浮島地区。夏には、ビーチを目当てに多くの観光客が訪れる観光地です。現在 約30世帯が暮らしていますが、災害時、国道に繋がる道路が寸断されると孤立する危険性があります。ここで先日、民宿を会場に住民たちによる避難所運営の訓練が行われました。講師となったのは災害対応NPOの松山文紀さん。地震発生の3日後には、能登半島に入り、避難所などで支援活動を行ってきました。
(災害対応NPO・MFP 松山 文紀さん)
「能登半島の地震の時に誰が運営していたかというと、やはり住民が運営していたんですね。行政の職員の配置が本当にないんですね。ないので自分たちでやらざるを得ないという状況が今、現に起こっている」
住民による避難所運営で重要なのは「役割分担」。さまざなルールや決めごとを誰が決定し、誰が実行するのか、住民たちで協力しなければいけません。訓練では、区長がリーダーとなり、「総括班」「避難者情報班」「保険衛生」「食料」などに分けて何人かの住民に役割が与えられ、その他は、避難者役となって、想定のもとに進められました。
(訓練)
「地元の人、1人とペットですね…」
能登半島地震が起きて1か月あまり。地元の人たちの関心も高く、浮島地区はほぼ全世帯、その他も地区からも合わせて50人あまりが参加しました。訓練が終わったあと、参加者全員が、意見や感想を述べ合いました。
( 参加者)
「自分だったらこれができる、自分はこういう技術があるとか事前にまとめておいた方がいい」
(参加者)
「どういうことが決まっていて同じことで困っている人が沢山いると思うので、情報の共有はその都度しておいた方がいいと思いました」
(参加者)
「いつもは浮島の人とはあんまり話さないですけど、災害があったら浮島の人と話さないとコミュニケーションがとれず助け合いができないので、災害がなくてもいっぱい話をしたいと思いました」
浮島地区の区長はこの日の経験を生かし、今後、組織づくりをしていきたいと話しました。
(佐藤 至 浮島区長)
「孤立状態になってかなり長期間に渡ると思うから避難生活が、そういう時にどう運営していくかですね、やっぱりみんなの助け合いが必要だなと感じましたね」
講師を務めた松山さんは、「災害時に行政は来ない」ということを前提に、日頃から準備を進めておくべきだと言います。
(災害対応NPO・MFP 松山 文紀さん)
「70歳でその避難所の中で若手になるってことなんですね。それで言うと西伊豆町は高齢化率が県内トップですし、伊豆半島自体が孤立しやすいという土地柄がありますので、その地域で何とかなるような人の繋がりづくりというのを今から進めていただくといいかなと思う」
西伊豆町では、今後 別の地域でも同様の訓練を実施していくということです。
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