コメンテーターは元衆議院議員で弁護士の若狭勝さんです。政治倫理審査会で塩谷立議員は、ほぼ顔を上げることなく表情を一切変えず、準備してきた原稿をひたすら読み続けるのが印象的でしたが、若狭さんはどうご覧になりましたか?
(元東京地検特捜部副部長・元衆議院議員 若狭 勝 弁護士)
「弁解を聞いている限りですと、ごまかしという感じを非常に受けました」
どういった部分で?
(元東京地検特捜部副部長・元衆議院議員 若狭 勝 弁護士)
「事務的なミスで今回の一連のことが起きたとか、自分は関与していなかったというようなことを言っているわけですが、これはごまかしなんです。というのはですね、私は衆議院議員を3年くらいやっていて、衆議院議員をやめた時に、政治の実態について本を出版したんですね。その本の中ですでに3年前に、こういう政治資金パーティーについてはノルマを課せられて、それよりオーバーするとキックバックして、それを収支報告書に載せずに裏金として使っているというのが実態としてあるというのを明言しているんですよ。ですから、私は3年でそれがわかった。見たり聞いたりして。だからそれ以上、10年、20年、自民党のなかで、あるいは安倍派のなかにいれば、こういうシステムでやっているというのは当然わかっている話なんですよ、そのお金の使い道はどうなっているかということもわかっているはずなんですよ。それを全然言わずに、事務的なミスだった、申し訳なかったというようなかたちでやっているのはごまかし以外のなにものでもない」
「しかも、塩谷さんは、この案件がマスコミに取りざたされだしたときに、マスコミに直撃取材されて、キックバックのようなことがあったようなことをポロっと口に出してしまったことがあるんですよね。その数時間後に、それはなかったというようなことで撤回してるんですが、その時の最初の言葉がまさしく、そういうシステムでやってたということは当然わかっているわけですから、わかっているということは自分もそれなりに関与しているということになるし、しかもきのう(2月29日)の岸田さんの話しからずっと皆同じような…今回 出てきた人が言っているんですけれど、今回 裏金とされているお金は『政治活動費に使っている』と、それは政治活動費以外には使っていない、いわんや違法な使途はないというようなことはおしなべて言っているんですよね。でも、それが一番 国民が知りたいところで、結局 自分の懐に入れているんじゃないのと…入れているんだとすれば、税務申告しなければ、それは脱税になるでしょう…というのが国民の素朴な考えなんですよね。ところがそれを真っ向から否定して、そういう裏金、還付金とされているものについては、そうしたちゃんとした政治活動費に使っているとかいうようなことをおしなべて皆 同じように異口同音に言っていると」
「しかしながら、それは少なくとも一部は、例えば違法な形で使っていたとか、他人に言えないようなことに使ってたとか、一部は自分の懐に入れていたということもあったかもしれない、あるとも思う…というくらいのことまで言えば説得力が出るんですけど、全面否定ですからね。全面否定というのは明らかにごまかし以外のなにものでもないと私は思います」
政倫審の意味とは…では何なのかな、ということになってしまいますよね?
(元東京地検特捜部副部長・元衆議院議員 若狭 勝 弁護士)
「これはですね、政治倫理審査会というのはうそをついてもごまかしても偽証罪には問われないと。普通の予算委員会などの証人喚問の場合はうそをつくと偽証罪に問われて実際に起訴された例もあるんですが、この政治倫理審査会は、うそを言おうが、ごまかししようが何も罪にも問われないということなので、本人の言いっぱなしみたいな形になってしまう。もともと実態解明というのは無理な話しなんですよね」
「期待してはいけないところなんですが…私も期待していなかったんですが、そうはいっても、もう少しちゃんと出てきて話してくれるのかなと思ったら、皆 異口同音でですね、もう『これは事務的なミスだ、裏金でなくてこれは、ちゃんとした政治活動費に使った』ということで押し通していると、これはやはり国民に対しての説明責任を果たしていないし、国民をだまそうとしているとしか言いようがないと私は思います」
2月29日(の政倫審)は岸田首相も出てきました。だから何か変わるのではないかと少し期待をしたのですが、実際どうでしたか?
(元東京地検特捜部副部長・元衆議院議員 若狭 勝 弁護士)
「まあ、岸田さんは、こうしてすったもんだして倫理審査会が開かれないような形になったから『自分が出ます、マスコミオープンで』ということで自分がリーダーシップを示したような思いなのかわかりませんけれど、決して出て言ったことは、ほとんど大したことは言っていなかったということだと思います」
この問題はどうなっていくのか…疑問が残ります。
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