自民党の派閥の裏金事件で政治倫理審査会に出席した、静岡県内が選挙区の塩谷立衆院議員は、厳しい追及を受けました。ほかの安部派幹部の説明と食い違う点も出ていて、実態解明に向け、さらなる説明が求められています。
3月1日、衆議院の政治倫理審査会に出席したのは、比例東海ブロック選出で静岡8区の塩谷立衆院議員。政治とカネの問題をめぐり、安倍派の座長だった立場として弁明の場に立ちました。
(塩谷 立 衆院議員)
「清和政策研究会(安倍派)の一連の事案については、国民の皆さんに多大なるご迷惑をおかけし、国民の信頼を損ねることになり深くお詫び申し上げる」
派閥の政治資金パーティーをめぐる“裏金事件”。塩谷議員は収支報告書に記載のないキックバックを過去5年で234万円受け取っていたことについて「認識していなかった」と説明しました。
(塩谷 立 衆院議員)
「(キックバックは)20数年前から始まったと思いますが、明確な経緯は承知していない。報道により不適切な運用が行われてきた事実を知り、長年の事務的な引き継ぎにより、法令違反を重ねてきたことは極めて問題であり、残念」
野党議員が追及したのは、2022年、当時の安倍元総理の指示でいったんは中止が決まった「キックバック」が再開した経緯についてです。
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「安倍さんは不記載であることをわかっていたのではないですか。不記載は違法状態だから改善しなければならないと思って、改善しようとしていたのでは」
(塩谷 立 衆院議員)
「今その確認をできるわけではないので、もし仮に不記載のことであれば、明確にその話が出たのではないかなと」
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「本当に安倍会長は不記載を知らなかったのですか。その場で不記載のことは話題に上らなかったのですか。安倍会長自身、そのときのことを言えない。だからこそ出席された方に本当のことを述べてほしい」
(塩谷 立 衆院議員)
「私も真実を申し上げていますが、その話は出ませんでした。不記載のことを聞いた人は一人もいないと思っていますし、指示は受けていません。仮に具体的に不記載のことがあったら、当然直していると思います。うそをついているわけではなく、事実を話している」
また、安倍派の座長だった立場として「所属議員に納税を呼び掛けるつもりはないのか」と問われると…
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「納税が必要な場合には、しっかりと納税をするように(所属議員に)強く促すこと、約束してください」
(塩谷 立 衆院議員)
「清和政策研究会(安倍派)は2月1日に解散することを決めたので、いま政治活動等は行っておりません」
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「そんなときだけ派閥が解散したことを理由にしないでください。一時的に復活して納税を促してください。笑いごとじゃないですよ。誰がイニシアチブ(主導権)を取ってやるんですか」
(塩谷 立 衆院議員)
「しっかり検討させていただきます」
さらに、野党議員が取り上げたのは、県内が選挙区の宮沢博行衆院議員の発言について
(宮沢博行 衆院議員)
「はっきり申し上げます、3年間で140万円、しゃべるな、しゃべるなこれですよ」
“裏金”について「派閥から口止めされた」と暴露した、この発言については…
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「同じ静岡の宮沢博行、当時防衛副大臣ですかね、しゃべるなとは誰から言われたんですか。岸田首相ですか。派閥の会長か。首相は違う、派閥の方からだ。あなたではないですか?」
(塩谷 立 衆院議員)
「宮沢議員に対して、そのようなことを言ったことはありません。宮沢議員に誰が言ったのか、こちらから伺いたいところだが、そういった指導をしたことはありません」
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「宮沢議員に伺ってくださいよ」
(塩谷 立 衆院議員)
「・・・(答弁せず)」
(立憲民主党 寺田 学 衆院議員)
「宮沢議員に伺ってください」
(塩谷 立 衆院議員)
「聞いてみます」
「聞いてみます」と答えた塩谷議員から連絡はあったのか?3日に宮沢議員を取材すると…
(宮沢博行 衆院議員)
Q:政倫審ご覧になりましたか?
「いえ、拝見はしておりません」
Q:不記載は誰の指示か塩谷議員が宮沢議員に聞くことになったが?
「(政倫審が)終わった後にそれを聞いたところでございます」
Q:塩谷議員から連絡は?
「ございません」
Q:塩谷議員から連絡あったら?
「そのときに判断いたします」
Q:不記載を指示したのは誰か?
「お名前については一切お答えできません」
「納得のいく説明」からは程遠い渦中の議員たちの「政倫審」での説明に街のひとは…
(街の人)
「あれぐらいしか言いようがないんじゃない?一般市民とかけ離れて、好き勝手なことを税金集めといて勝手に使い道を作りながら袖の下をもらっているのはまずいんじゃないかな」
「全然わからない。全部隠しているから。何か恥ずかしい、 一緒の地区に住んでいることが。あの中では言った方だけど、もっと知っているはずですよ」
「同じことばっかり言っている政治家は信用できない。あれが真実だなんてありえない。幹部が知らないわけがないのに、知らなかったって、あれで通る世の中じゃ間違いだと思う」
政倫審での説明をめぐっては新たな疑問も・・・キックバックが一時廃止されたあと再開された経緯の説明をめぐり、派閥の事務総長を務めていた西村前経済産業大臣は、安倍元総理が亡くなった後の会合では『結論が出なかった』と発言したのに対し、座長の塩谷衆院議員は「継続はしょうがないとの結論になった」と話し説明が食い違っていました。
4日 国会で、野党は…
(立憲民主党 辻元清美 参院議員)
「塩谷さんと西村さん呼んでですね、食い違ってるじゃないかと、どっちなんだと。 そこが1番、国民が関心あるだろうと。 どっちなんだと、お2人を呼んで総理が確認したらどうですか」
(岸田首相)
「様々な場において説明を行っていく、こういったことが続けられています。その中にあって、この実態についてどこまで把握することができるのか、それをしっかりと把握しなければならない」
(立憲民主党 辻元清美 参院議員)
「西村議員と塩谷議員に、食い違いについて総理がただす。やられますか」
(岸田首相)
「実態把握に向けて党として対応を考えます」
(立憲民主党 辻元清美 参院議員)
「党の誰がやるんですか」
(岸田首相)
「幹部で判断をし、そして最終的には総裁である私が判断いたします」
実態解明に向け自民党はどのような対応をとるのか、有権者の厳しい視線が注がれています。
この記事の動画はこちらから再生できます