東日本大震災の後、静岡県内に活動拠点を移していた「JFAアカデミー福島」が帰還することに伴い、19日、日本サッカー協会の田嶋会長が川勝知事を訪問しました。一方、知事をめぐっては面会の場での不用意な発言が問題となっていて、県議会の勢力図にも変化が出ています。
川勝知事は先週、磐田市を拠点に活動する女子サッカーなでしこリーグ1部の静岡SSUボニータから表敬訪問をうけた際、サッカーの名門校で知られる藤枝東高校に対して「勉強よりもボールを蹴ることが一番重要」と発言。さらに、「スポーツマンシップが身に付いている。それは、男の子はお母さんに育てられるから」などと発言しました。度重なる不用意な発言に県議会の自民党会派などから批判の声が上がっていました。
こうした中、19日 県庁を訪れたのは日本サッカー協会のトップである田嶋幸三会長。「JFAアカデミー福島」の受け入れに対して、感謝を述べるため知事のもとを訪ねました。
日本サッカー協会のエリート養成機関、「JFAアカデミー福島」は、2011年、東日本大震災の影響で地元での活動が困難となり、静岡県東部に活動拠点を移していました。4月からは、活動拠点を全面的に福島県に戻すこととなり、田嶋会長が13年間の受け入れに対し、知事に直接、感謝を伝えました。
(日本サッカー協会 田嶋 幸三 会長)
「東日本大震災があり、それから2週間と経たないうちに我々100人近くがこの静岡県にお世話になることができたこと、これは今でも奇跡としか思えていません、このご恩は本当に忘れることなくこの13年間過ごしてきました」
これに対し、川勝知事は、「JFAアカデミー福島」の帰還を前に、福島県のJビレッジを視察したことを振り返りました。
(川勝知事)
「かつて事故処理にあたっていたのかというくらい、さらにそこには駅までできて、学校もすぐそばにできて、迎えるための準備がこれ以上できないくらいなさった、これは文字通り復興のシンボルとして心血注いで田嶋会長のもとJビレッジの復興、創造的復興をなさった」
「JFAアカデミー福島」の帰還について田嶋会長の功績をたたえた川勝知事。日本サッカー協会のトップとの会談は和やかなムードで終わりました。
(スタジオ解説)
一方、先週の不用意な発言が物議を醸している知事をめぐっては、県議会の勢力図に変化が出ています。
県議会第2会派で知事を支える「ふじのくに県民クラブ」に所属する浜松市中央区選出の大石哲司県議が、会派から離脱することがわかりました。大石県議は、今後、無所属で活動する予定です。
県議会では、2023年、自民党会派が知事への「不信任案」を提出しましたが、「ふじのくに県民クラブ」所属の議員全員が反対し、わずか1票届かず否決された経緯があります。大石県議の離脱により「ふじのくに県民クラブ」は16人となり、不信任案の否決ラインとなる17議席を単独で維持することができなくなります。
「ふじのくに県民クラブ」に所属する県議の1人は、「もし再び知事への不信任案が出されても、大石県議が賛成にまわることはないのでは」と話していますが、今後の動向が注目されます。
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