2027年開業が間に合わず「2034年以降」の開業の見通しとなったリニア新幹線。この発表を受け沿線の知事が静岡県へ苦言を呈すなど波紋が広がっています。
(JR東海 丹羽 俊介 社長)
「残念ながら品川ー名古屋間の2027年の開業は実現できない」
当初目指していた品川駅と名古屋駅間の”2027年開業”を断念したJR東海。静岡工区のトンネル工事をめぐっては大井川の水量減少や環境への影響の懸念から工事着工の目途が立っていません。JR東海は静岡工区の工事期間を10年と見込んでいて、今から着手できたとしても「2027年開業には間に合わない」などと説明していて、開業は最短でも「2034年以降」となる見通しです。
(JR東海 丹羽 俊介 社長)
「静岡工区着工の遅れが名古屋開業の遅れに直結する。1日も早く静岡工区を着工できるように全力を尽くしてまいりたい」
これをうけて先週、川勝知事は…。
(川勝知事)
「2034年以降にしか開業でき ないという。できる限りのこと は協力していきたい」
Q.開業断念は知事にとって思い通りになった?
(川勝知事)
「とんでもない!」
また、整備の推進と水資源や生態系の保全との両立に向け対話を速やかに進めるとコメントしました。
一方で、神奈川県や山梨県など沿線各県ではこれまで2027年開業を目指して工事が進められてきました。それもあり、先週末沿線各県の知事から”静岡県への苦言”が相次いだのです。
(神奈川・黒岩知事)
「神奈川県としてはやるべきことをやってきた。国家プロジェクトなのでそれぞれの責任を果たしていくのが当然のこと。しっかりと静岡県と国で調整して合意点を見出して前に進めていくのをお願いしたい」
(山梨・長崎知事)
「期成同盟会の場を通じて静岡県に対しては我々に説明してほしい(jmp)静岡県が抱えている問題だと思っているが共有する作業をしていただいていないので」
(愛知・大村知事)
「できる限り早期に東京・名古屋間が開業されることを強く要望したい」
(岐阜・古田知事)
「我々はなんとしてでも2027年ということで頑張っているので非常に残念」
さらに開業を待ち望んでいた沿線の住民からも落胆の声が…。
(名古屋市民)
「ものすごく…がっかりしていますね」
愛知県名古屋市にあるこの店は、リニアの開業を見越して3年前にオープン、リニアに関連した商品を販売して開業を心待ちにしていたといいます。
「いつ開業するのか、それが気になってしょうがないですね」「ゴールが見えないというか遠ざかっていく感じですよね」
駅ができる予定の岐阜県中津川市でも。
(岐阜・中津川市民)
「大学生になったたくらいにできるという話だったので遠いところにいけるといいなと思ってたけど、ちょっと残念だなとおもいます」
沿線の各県から「課題解決のスピード感についての指摘」や落胆の声が向けられる中、リニア問題を担当する静岡・森副知事は「県も着工に向けスピード感を持って取り組んでいる。他県にも議論の状況を期成同盟会の場で説明したい」と話しました。
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