知事の辞職表明で注目を集めるのが「リニア問題」です。知事は静岡県内での工事を認めない姿勢を貫いてきましたが今後議論はどのように進むのか?沿線からは早期着工に期待の声も上がっています。
(川勝知事)
「いざ悪影響が出たらどうするか。きちっと協定で文書化して、誰にもわかるようにしてからでないと工事はできない」
リニア新幹線の静岡工区の着工を認めず「大井川の水問題」について厳しい姿勢を示してきた川勝知事。リニア問題は、「大井川の水問題」や「南アルプスの環境保全」などの課題について議論が続きいまだ静岡工区着工のめどはたっていません。県とJR東海では、これまで、多くの議論が交わされてきましたが、双方の意見は平行線をたどり、対立が続いていました。こうした中、国は2020年に、県とJRの仲裁役として有識者会議を設置し、議論を続けてきました。国の有識者会議は、約3年半にわたって議論し、2023年12月までに大井川の水量減少が懸念される「水問題」や南アルプスの環境保全に関する報告書を国交省に提出。国交省は、この報告書をもって、「議論を終えた」との認識を示していました。しかし、川勝知事が反発。
(川勝知事)
「有識者会議では十分な議論がされず解決されないまま報告書がとりまとめられた。不十分な点について県の専門部会とJR東海で対話を進めたい」
引き続き、県の専門部会で議論を続ける考えを示しました。いまだ静岡工区の見通しが立たないことから、JR東海は先週、国土交通省で開かれたモニタリング会議で、品川・名古屋間の2027年開業を「断念する」と正式に表明しました。この直後のタイミングで辞職表明をした川勝知事。リニア問題の議論はどのように進むのか。
3日、島田市の染谷市長は、今後のリニア問題について、「大きな分岐点になる」との考えを示しました。
(島田市 染谷 絹代 市長)
「リニアに関すれば知事の辞意表明というのは一つのターニングポイント、大きな分岐点になるかなと思っている。本来あるべき水資源の問題や環境など本筋から離れた様々な課題で静岡県は賑わせてきましたが、これでしっかりと本来あるべきの議論に戻るきっかけになればと思っている」
一方、リニア新幹線建設促進期成同盟会の会長を務める愛知県の大村秀章知事は、3日の会見で、静岡工区の早期着工を求めました。
(愛知・大村 秀章 知事)
「大井川の流域の自治体含めて水問題については科学的根拠をもって去年11月12月に国の専門家会合の報告をもって、だいたい納得していただいたと受け止めている/静岡工区の一日も早い着工。そして東京ー名古屋間の早期整備実現で開業に結び付けていただきたい」
川勝知事の辞職表明で大きな転換点を迎えようとしているリニア問題。今後の県の対応が注目されます。
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