(静岡茶市場・初取引開始)
「よ~っ シャンシャンシャン」
(徳増 ないる キャスター)
「史上最速の初取引が静岡茶市場で始まりました。本格的な新茶シーズンの到来です」
春の訪れを告げる静岡の恒例イベント「新茶の初取引」が静岡茶市場の約70年の歴史の中で最も早く12日に行われました。お茶の取引が行われる“拝見場”には生産者や茶商など約800人が集まりました。初日となった12日は、静岡県内産の新茶8点50.8キロが持ち込まれ、買い手が香りや味を確認しながら次々と取引が行われていきました。
12日、最高値を付けたのは静岡市清水区両河内産の「高嶺の香(はな)」で、その値段は なんと、1キロあたり111万1111円となりました。
「高嶺の香」は、これで45年連続で初取引・最高値(機械式製茶)となる豊かな味わいが特徴の高級ブランド茶です。最高値で買い取った茶商は…。
(和田長治商店 和田 夏樹 代表取締役)
「初日のこの場で一番いいお茶だと思ったので、それに見合う値段をつけたいと思った」「香りを嗅いだ時にものすごく新茶の香り、奥行きのある香りを感じた、この環境と状況ではものすごく良いでき」
2024年の新茶の品質は高いということですが、3月下旬の冷え込みなどにより生育が遅れた影響で、初取引への出品数は8点(※2023年96点)にとどまり、平均単価7万7637円と2023年の約11倍となりました。生育が遅れていながらも過去最速の初取引となったのには、近年のお茶市場の状況が関係しているといいます。
(静岡茶市場 内野 泰秀 社長)
「早く消費者に静岡のお茶の香りを届けたいという思いで初取引を早く行った」
そんな中、12日 静岡茶市場で初となる一般向けの初取引見学ツアーが行われました。ツアーには首都圏や山形など県外からも含め10人が参加。初めて見る初取引に、参加者もワクワクが止まらない様子。
(参加者)
「日本茶インストラクターで ここは憧れの場所、興味のある場所ずっと来たかった、きょうが初めてです」
(参加者 )
「どんな風に競りが行われるのかあとは試飲ですね」
そして場内へ。多くの関係者の中をかき分けながら進み、なんと、目の前で取引を見学!
(参加者)
「すごい熱気に包まれていてびっくりしました」
さらに、取引が成立したばかりの新茶を食べる貴重な体験も。
(参加者)
「美味しいです」
このツアーには県外の人にもお茶の魅力をもっと知ってもらいたいという思いが…。
(静岡茶市場 内野 泰秀 社長)
「一番知ってほしいのは、市場の人間がどうやって売っているのか」「きょうは県外の方が多い、消費者に向けて静岡のアピールをしたい」
取引されたばかりの新茶を飲んだ参加者たちも新たな発見があったようで…。
(参加者)
「茶商との値段の取引から緊張感が伝わってきて、すごい世界だなと思った。静岡のお茶は好きでよく飲んでいる。もっともっと売れてほしい」
(参加者)
「もっと静かに取引していると思ったが、みんなでやっていることが感動した」「丁寧に作っていることがお茶の葉から感じられて静岡の特徴だと思った」
一方、清水港に寄港する国際クルーズ船が増えている中で、外国人からお茶の需要も高まっているといいます。こちらは、静岡市内にあるお茶スイーツなどを扱うお店。海外からのお客さんに対応できるよう店内には英語表記の案内も…。
(ななや 鈴木 美和 さん)
「外国の方が多くて観光客が増えた」「東南アジアや欧米の方も多いジェラートを食べた後にチョコレートや抹茶、ティーパック、リーフを買う方も多い」「外国の方でお茶に親しみのない方もワインを楽しむように品種と産地を英語で書いています」
静岡のお茶を広めたいと、お茶業界全体が協力して今後も新たなお茶の楽しみ方が続々と登場していきそうです。
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