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【宿泊税】2025年度導入予定で税収活用へ新組織設立も…全国の活用例は?(静岡・熱海市)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年4月18日 16時22分

日本有数の観光地、静岡・熱海市では、2025年から宿泊税が導入されます。税収は年間7億円と見込まれていますが、すでに導入している京都市や福岡市ではどんなことに活用されているのでしょうか?また、使い道のカギを握る組織にも注目しました。

日本有数のリゾート地、熱海。週末、お昼時になると…。

(坂井 太一 記者)

「改札から多くの観光客が出てきます。熱海駅前賑わっています」

(山梨県から来た観光客)

Q,熱海は何回目ですか?

「3回目。アクセスが良く来やすい」

(神奈川県からの観光客)

「5~6回来ました。海もきれいで海鮮丼もおいしいです」

(神奈川県からの観光客)

「10回や20回じゃきかないくらい来ている、昔から。ホテルでの楽しみもある」

年間300万人近くの宿泊者が訪れる熱海。リピート率でみると初めての人は約3割でなんと2回以上が7割も占めているのです。そんな熱海市では、“新たな制度”が…。

(3月・熱海市議会)

「宿泊税条例につきましては、地域社会の発展に寄与する持続的な観光振興を図る施策に要する費用に充てる」

2025年度から宿泊税を導入することが市議会で可決されたのです。熱海市の「宿泊税」は1泊1人につき200円。そもそも、なぜ導入することになったのでしょうか?

(熱海市観光建設部 立見 修司 次長)

「税収減、将来的に少子高齢化が 進んでいる中で社会保障費の増大も予想されますし、中々観光振興に充てる財源を確保するのが難しくなる」

現在、熱海市が「観光振興策」に費やしているのは年間およそ4億円。内訳は「入湯税」と市民の税金となる「一般財源」が2億円ずつです。これに「宿泊税」が導入されたら「観光振興策」は10億円に。「宿泊税」は7億円と見込んでいて「入湯税」2憶円、「一般財源」が1億円になるといいます。

10億円の使い道、観光客は何を望んでいるのでしょうか?

(東京から来た観光客)

「坂が多いので、無料で貸し出しできる自転車とか」

(兵庫県から来た観光客)

「観光地を巡れるような公共の交通機関を発達させるとか」

(東京から来た観光客)

「もぬけの殻になっている変な所(廃虚が)たくさんある。全部きれいにしてほしい」

(東京から来た観光客)

「花火大会の回数を増やしてほしい」

現在、宿泊税を導入しているのは、東京、大阪、福岡の3都府県と6つの市・町 計9自治体です。

4年前から導入している福岡市。2024年度の観光施策の事業費、約59億円の内、宿泊税は29億円です。観光客の集客を図るため、福岡城天守閣のライトアップなどに約9800万円。海辺を活用した観光振興事業には約4億5000万円を計上しています。観光スポット、志賀島のレンタサイクル導入や船を活用したイベントなども計画しているということです。

一方、日本が誇る観光地「京都」。2024年度の観光施策の事業費はなんと103億円、その内宿泊税は48億円です。宿泊税の導入は6年前からですが、その背景は?

(京都市行財政局税務部税制課 川戸 哲郎 課長)

「観光客にたくさん来ていただいて、公共交通機関の混雑ですとか、民泊ができたりしてトラブルになったりとか、市民生活に負担が生じていた。解決しようと財源をどう確保していくか議論になって、宿泊税を導入して対策に活用しようと」

導入のきっかけはマナー向上のため。これまでに、インバウンド向けにチラシを作ったり禁止行為を示した看板を設置するなど対策を進めてきました。また、市内の混雑状況を確認できる専用サイトも設立。バスやタクシー乗り場、観光名所にライブカメラを設置しリアルタイムの映像を確認できる上、天候、日時、時間ごとに色分けし、空いているか混んでいるか確認することもできます。

熱海市での導入は最短で2025年の4月からで、活用は2年後を見込んでいますが、その使い道のカギを握るのが…。

(熱海市観光建設部 立見 修司 次長)

「こちらが熱海市の観光の旗振り役となるDMOの骨格となります」

官民一体となるDMO、簡単に言うと地域の「稼ぐ力」を引き出す組織です。DMOが司令塔となり、観光に関わるあらゆるセクションと連携し、旅行消費を拡大させるため明確な戦略を策定するのです。

(熱海市観光建設部 立見 修司 次長)

「宿泊税を効果的に使う、効果的に運用する組織としてDMOを2024年度、立ち上げの準備をしている」

熱海市のDMOの想定メンバーは25人。チェック機能を果たす「評議員」が10人、実際に戦略を練る「理事」が15人です。

現在、地元のさまざなジャンルから人選を進めているといいますが、「理事」の3人については「経営」「プロモーション」「旅行商品の開発」などに長けた人材を今後、公募から決めていく方針だといいます。

(熱海市観光建設部 立見 修司 次長)

「今後は宿泊税を導入することによって納税する人が広がる。自分が協力した宿泊税がどのように使われてどのような満足度に繋がったか、しっかりと提示する必要がある。宿泊税とDMOをセットに考えられることは、観光地経営を考える上で良かったことだと考える」

熱海の宿泊税やDMOはどんな観光地へと導いてくれるのでしょうか?今後の熱海に注目です。

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