日本を訪れる外国人観光客が増えるなか、剣道を通して日本文化を発信する「剣道ツアー」が、いま注目を集めています。その様子を取材してきました。
日本政府観光局によりますと、3月、日本を訪れた外国人の数は308万1600人となり、単月で初めて300万人を突破し過去最高となる中、県内でも、あるユニークな体験型ツアーが行われています。
朝7時。静岡市葵区の護国神社内にある道場を訪れると。
海外の剣道愛好家が各地の道場をめぐる その名も「剣道ツアー」。4月19日~24日の6日間、静岡市や焼津市など中部地区の道場で稽古に参加するほか観光地も訪れます。今回このツアーに参加したのはアメリカやオーストラリアなど7か国から来た20代から70代までの剣道愛好家。参加者全員が初段から5段までの有段者です。朝7時からの稽古。参加者は、面のうち方や竹刀の持ち方などの指導を受けながら稽古に励みます。
(初段・アメリカから参加)
「いい経験だった、たくさんのことを学んだ」
(2段・ ニュージーランドから参加)
「貴重な経験だった、心身ともに緊張した。先生方と交流ができて良かった」
ニュージーランド出身のセイヤさんが剣道と出会ったのは学生時代に来日した時。いまでは剣道教士7段の実力者でニュージーランド剣道連盟の会長を長年務めるなど剣道文化の発展に取り組んできました。
(記者)
Q.「なぜこのツアーを?」
(グレアム・セイヤさん)
「町道場という世界を紹介したい、海外はもちろん小さな道場がたくさんあるが、このような7段と8段の先生にあたるのは非常に珍しい」「日本の先生方も海外の初段2段の人と稽古をやるのは珍しいから、その両方の世界を混ぜて そこから剣道のいい所が生まれてくると思う」
朝稽古で汗を流した一行が続いて向かったのは静岡市駿河区にある駿府匠宿。稽古だけでなく地域に根付く文化にふれてもらうことも このツアーの魅力です。このグループは藍染めに挑戦。作りたいイメージを決め模様を作っていきます。
(スロバキアから参加)
「白い線は稲妻、雷、これは嵐剣道が始まる前と戦いの後を表現している」「藍染めは親しみがある/藍染めの剣道着を着ると青に染まる」
その後、一行が訪れたのは、焼津市の林叟院です。座禅体験を通じて剣道の心得として不可欠な「禅」を学びます。
日本文化を体験しながら道場をめぐる「剣道ツアー」参加を決めた人にその理由を聞いてみると。
(スロバキアから参加)
Q.ツアーへの参加理由
「来日は初めてで、同時に剣道の稽古に参加できるから自分でプライベートで来ても道場や今回のような練習仲間に出会えない」「そして他の国や日本の剣士と知り合って友達になるため」
(初段・ポートランドから参加)
「日本に来たくて剣道も日本でやってみたかった、両方がかなう絶好の機会だと思ったから」「アメリカでは人気で最近もっと人気になっていると思う、私が剣道を始めたころは地域に2つしか道場がなかったけれど、いまは4つある」
スポーツ庁は、武道と地域の観光資源を組み合わせた「武道ツーリズム」を推進していて、今回のツアーも県が広報活動などに協力しています。県もこのユニークなツアーに注目しています。
(県職員)
「日本古来の伝統のもので注目されている部分があるので、我々は逆にそれを教えてもらいながら、外国の方に日本に来てもらい競技人口を拡大したい」
「剣道ツアー」は秋にも開催が予定されていて、県内はさらなる盛り上がりに期待が高まります。
この記事の動画はこちらから再生できます