5月3日から開催される浜松まつり。2024年はコロナ禍で禁止されていた“お酒”も解禁され、5年ぶりの「完全開催」に…着々と準備を進める市民の期待も高まっています。
4月21日、浜松市中央区の馬込町にやってきたのは齋藤匡希さんの一家です。
(馬込町の住民)
「本日はおめでとうございます」
(齋藤 匡希さん)
「ありがとうございます」
(馬込町の住民)
「これから糸目付けをやらさせてもらいます。よろしくお願いします」
2024年の浜松まつりで4人の息子の誕生を祝って初凧をあげる齋藤さん。本番を前に地元の人たちと一緒に凧に糸を結びつける「糸目付け」を行いました。息子たちの名前が入ったタテ・ヨコ 約3メートルの「6帖凧」に妻の綾さんも…
(齋藤さんの妻・綾さん)
「すごい大きくてびっくりしました。とにかく元気で健康に育ってくれればいいと思います」
浜松まつりは今から450年あまり前に当時、浜松を治めていた城主が長男の誕生を祝って凧をあげたことが始まりとされています。5月3日から5日までの3日間行われ、172の町が参加。迫力ある凧の糸切り合戦が名物ですが、初日の3日は子どもの名前を入れた「初凧」を揚げて初子の誕生を祝います。
現在は浜松市内の別の町に住んでいる齋藤さん。初凧の糸目付けは本来、初子の家をまわって行われますが40人ほどの住民が町の公会堂に集まり丁寧に糸を結びつけていきます。約1時間後…
(馬込町の住民)
「バンザイ!バンザイ!バンザイ!」
威勢のいいお囃子で凧の完成を祝いました。生まれ育った町で初子のお祝いができることについて齋藤さんは…。
(齋藤 匡希さん)
「自分もそこ(馬込町)でやってもらったので。思い出にすごくなると思うのでね(息子の頭をなでる)」
(記者)
Q.どんな子どもに育ってほしい?
(齋藤 匡希さん)
「4人もいるのでそれぞれやりたいようなことをやっていけるような子どもになってほしいと思う」
浜松まつりでは夜を彩る「御殿屋台」の引き回しも見どころです。各町自慢の彫刻が施された豪華な屋台で中心街は熱気に包まれます。馬込町では75年ぶりに屋台を新調。高さは約5メートル。森町の神社に生えていた樹齢 約450年のヒノキが用いられ七福神など縁起のいい彫刻も施されました。
(馬込町の住民)
「町民全員、小さい子からお年寄りまで皆さんが楽しみにしています」
5年ぶりに会場での“飲酒禁止制限”が撤廃され市民の熱も高まっているようで…
(馬込町の住民)
「たくさん飲んで、たくさん飲んでたくさん飲みましょう!ハハハハハ」
酒の販売店でも久々の“特需”に沸いています。
(西尾 拓哉 記者)
「地元の酒店では初子の誕生を祝福する祝い酒の注文も5年ぶりに入っています」
中止や無観客、入場制限などの対応がとられたコロナ禍の4年間はこの時期の売り上げが2割ほど減少。2024年4月は、すでにコロナ禍前と同じぐらいの注文が入っているといいます。
(かたやま酒店 片山 克哉さん)
「去年、おととしに比べれば全然空気が違いますからね。やっとことし元の祭りができるようになったかなという喜びはありますよね」
酒造会社には子どもの誕生や成長を祝う“たる酒”の注文が続々と入っています。“たる酒”は3つの大きさから選べますが…
(花の舞酒造 下村 昌 部長)
「注文数でいうと圧倒的に“4斗だる”が多くて」
一番大きい4斗だるが7割を占めるといいます。そのワケは?
(花の舞酒造 下村 昌 部長)
「浜松特有の“見栄”というか、言っていいかわからないけれど。みんな昔から“4斗”を購入いただける」
自身も浜松まつりに参加するという下村さん。コロナ禍で“たる酒”の文化が消えてしまうのではと心配していたといいます。
(花の舞酒造 下村 昌 部長)
「やっと帰ってきたというところです。もしかしたら小容量サイズに変わるのかなという懸念もあったが、やっぱり浜松の人たちは“4斗だる”と。たくさんの人が幸せになってくれればそんな素晴らしいことはないものですから。自分も会社も楽しんで成長してくれるといいなと思います」
浜松の人にとってまつりに欠かせない“お酒”。組織委員会は「節度をもって楽しんでほしい」と呼びかけています。
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