=鈴木康友 候補=
川勝前知事の辞職表明から約2週間後に出馬を表明したのが鈴木康友候補。
鈴木さんは、2000年から当時の民主党で衆院議員を2期務めた後、2007年から浜松市長を4期16年務め、去年4月に退任していました。
選挙戦では、自動車メーカー・スズキの鈴木修相談役ら、浜松の経済界から支援を受け、ハマキョウレックスの大須賀正孝会長が選対本部長に、自民党の浜松市議の一部も独自に支援しています。
鈴木さんが訴えているのは、“実績”
浜松市は都市部と山間部がある「国土縮図型都市」として「さまざまな行政課題に取り組んだ」と強調しました。
(鈴木康友 候補)
「あらゆる行政課題が詰まっている。そんな市のかじ取りを16年間務めていて、いろいろな経験を積みました。これは即戦力として必ず県政に生かせる」
浜松市出身の鈴木さんは、地盤とする候補者がいない東部での“浸透”に力を入れています。
“西部”の候補者というイメージを払しょくしようと、浜松市長として手掛けた「産業政策」を東部にも広げたいと訴えます。
(鈴木康友 候補)
「企業はいっぱい来たいというけれど、土地がないですと。なければつくればいい。生み出せばいい。浜松でもできたから、東部だったらもっともっと企業を呼んでこられます」
そして、24日、沼津市内の演説では…
(鈴木康友 候補)
「東部・伊豆担当戦略監。もし議会が承認したら、専任の副知事を置く。東部地域の活性化に力を注いでいきたいと思います」
東部の決起集会には、立憲民主党の泉代表が応援に…
国民民主党の玉木代表も、東部の街頭でマイクを握るなど、野党幹部が次々と応援に入っています。
(立憲民主党 小沢一郎 衆院議員)
「がんばってください!どうもどうも、すみません」
こうした中、“西部”の地盤固めに訪れたのが、立憲民主党の小沢一郎衆院議員です。
旧民主党時代に国会議員の後輩だった鈴木さんの陣営関係者を激励しました。
(立憲民主党 小沢一郎 衆院議員)
「野党の国民からの期待感が高まるのと同時に、自民党がかなりショックな状態になるだろうね。うち(鈴木候補)が勝てばね」
終盤の選挙戦では、工夫もみられています。
知名度が高い県西部では1回あたりの街頭演説の時間を短くしてわずか5分ほどに…
(鈴木康友 候補)
「選挙が終わっていい結果が出たら」
(浜松市議)
「1曲歌いに来てくれますか?」
(鈴木康友 候補)
「10曲でも100曲でも。歌うまいよ!」
演説を終えると、すぐ次の会場に移動します。
地元の有権者と一人でも多く顔を合わせられるよう、演説の回数を増やし、この日は10か所をまわりました。
政策についても“変化”が…
注目されるリニア問題については、岐阜県での“水位低下問題”を受けて、川勝前知事の姿勢を評価する発言も目立つようになりました。
(鈴木康友 候補)
「大井川流域の皆さんの大切な水なので、それを守るのは誰が知事になっても(川勝前知事を)継承すべきことだと思います。水の問題はおさえた上で、リニアのプロジェクトに向き合っていく」
選挙戦の最終盤には、立憲民主党の辻元清美参院議員が応援に駆け付けるなど、“与野党対決”の構図を強く出すようになりました。
(立憲民主党 辻元清美 参院議員)
「相手は死に物狂い、政権をかけてかかってきてます。ですから、そんな政権かけてかかってきても、市民の力、草の根の力で跳ね返す。静岡から大きく日本を揺さぶる結果を出してほしいと、私は思ってきました」
(鈴木康友 候補)
「大きな権力、大きな組織に頼った選挙で、私たち県民一人ひとりの思いの結集が負けたら、静岡もだめだし、日本の政治がだめになる。私の年齢からすれば、人生最後のご奉公です。全力をあげて静岡県の発展のために知恵を出し汗もかいてがんばります」
=大村慎一 候補=
(大村慎一 候補)
「私が取り組みたいのは県政の立て直し、その一点です。」
川勝前知事の辞職表明からわずか6日後。
真っ先に出馬を表明したのが、大村慎一さんでした。
大村さんは、静岡市出身の60歳で、総務省の元官僚。
2010年から約2年間、県の副知事を務め川勝前知事のもとで働きました。
(大村慎一 候補)
「対立と分断が渦巻き物事が進まない、決められない。そして、どこで何が決まっているのかよく分からない。大きな声や特定の声、こうしたものが渦巻く、そういう県政から、県民不在の県政から、県民の手に県政を取り戻したい。私はその一心で戦っています」
重点政策として「防災・危機管理」「経済」「教育」を掲げてきた大村さん。
静岡市の経済界が支援しJAなどの業界団体が推薦を決める中、自民党本部も推薦を決め選挙戦を支えました。
その自民党が応援の切り札として起用したのが「次の総理候補」との声が上がる上川陽子外務大臣。
(上川陽子 外相)
「一緒に一から大村さんとつくりあげていく、この大きな活動に参加し、戦い抜いていきたいと思います」
裏金問題などの影響で、今回、自民党本部から幹部や大物議員が応援に入ることはありませんでした。
大村さんの選挙戦の特徴のひとつは、「パネル」でした。
それぞれの地域に沿った政策を、パネルを使って打ち出していきます。
(大村慎一 候補)
「西部地域の政策ビジョンを出させていただきます。“遠州ものづくり さあ行こうプラン"です。これ、きょう初めて出すんですが、駿河スーパーハブ構想というものを出させていただきます。
また、リニア問題は「1年以内に結果を出す」と話してきましたが、選挙期間中に岐阜県で起きた水位低下の問題を受けJR東海の対応の悪さを指摘。
(大村慎一 候補)
「最初にこの話が出たのが3か月前らしいです。3か月前に、井戸水が枯れるという現象をすでにJR東海が把握して、地域の一部の方にはお話ししたそうですが、(岐阜)県に全然報告がなかったといいます。前提は、信頼関係があるということなので、それがないのであれば、この1年以内というのはいったんストップさせていただきます」
事業は推進するとしながらも、考えを変えるところもみられました。
また、現場に足を運び、声を聞くという姿勢をアピール。
用宗漁港では、シラス漁の船に乗って漁業関係者に話を聞いたり、静岡市山間部の牛の畜産農家を訪れ、肉牛のエサやりも体験しました。
(大村慎一 候補)
「でもいま飼料価格があがってますよね?」
(畜産農家)
「かなりダメージ。補助もいただいてやりくりしているが、まだ大変です」
そんな大村さんを家族も支えていました。
娘の茉央さんは都内で働いていますが有休休暇を使って静岡でSNSの配信などを手伝っていました。
(大村候補の娘 茉央さん)
「父の、どうしてもお堅い感じが出てしまっているので、それを崩すというか、親しみやすさを皆さんに伝えられたらいいなと思い、SNSを始めました。
(大村慎一 候補)
「すごくうれしいです。元気になります。」
そんな茉央さんも演説する機会がありました。
(娘 茉央さん)
「娘の私から見ても、父は本当に真面目で、物事を全力でやり遂げる人だと思います。どうか皆さまの力をお貸しいただき、支援の輪を広げていただけますようお願いいたします」
(大村慎一 候補)
「私が知事になって、この静岡県民360万人の誇りを取り戻し、そして、一生懸命仕事をします。そして、必ず、必ず、この静岡県を前進できるように一生懸命頑張ります。みなさまのために頑張る知事になります。仕事をさせてください。よろしくお願いします。」
その思いは、届くのでしょうか。
=森大介 候補=
(森大介 候補)
「国や大企業の言いなりではなく、しっかりと発言し行動していく県政に転換していく」
大村慎一さんと鈴木康友さんに次いで3番目に出馬を表明した共産党の森大介さん。
森さんは藤枝市の出身で日本福祉大学を卒業後、社会福祉法人に勤務したほか、共産党の機関紙しんぶん「赤旗」の記者として県内で取材活動を行ってきました。
(森大介 候補)
「水と環境を破壊する問題山積のリニア問題は中止すべきです。浜岡原発については、みなさんご承知のように、南海トラフの巨大地震の震源域の真上に立つ世界一危険な原発です。リニアと原発を許さず、県民の暮らしと福祉を最優先、希望の持てる県政へと大きくチェンジしていく」
暮らしや福祉を優先する県政にしていくため「リニア新幹線の建設中止」と「浜岡原発の再稼働反対」などを重点政策に掲げた森さん。
街頭には、共産党の衆院議員やリニア建設に反対する市民団体が応援に駆け付けました。
選挙期間中、森さんは、東部・中部・西部をバランスよく回りながら政策を主張。
静岡駅前で行った街頭演説では、横断幕を張って政策を訴えたほか、支援者らもボードを掲げるなど、共に森さんの考えを訴える姿も見受けられました。
(森大介 候補)
「(投票日前日の)土曜日まで、直接街頭で私の訴えを聞いていただく。そのあとで、お聞きただいた方の生の声を聞き、それでさらに自分の政策、訴えを磨いていく形で頑張っていきたい」
街頭演説に手応えを感じ、最後まで有権者の声を直接聞いていきたい、と話す森さん。
国や大企業と対等に意見を交わし、希望を持てる県政へ立て直していきたいと意気込んでいます。
=横山正文 候補=
菊川市出身で政治団体代表の横山正文さんはリニア新幹線の建設について「即座に工事の許可を出す」と訴えています。
(横山正文 候補)
「先進坑貫通工事の許可を県知事に就任する会見で許可する」
=村上猛 候補=
静岡市出身でアパート経営の村上猛さんはリニア問題に慎重な姿勢を示し、建設計画を見直したいと主張しています。
(村上猛 候補)
「県民を騒がしているのはリニア問題。まずはリニア問題の最初から検証したいと思う」
=浜中都己 候補=
浜松市出身で会社社長の浜中都己さんは誰でも国などに対して要望や意見を申し立てる権利「請願権の拡充」を訴えています。
(浜中都己 候補)
「皆さんの目的となる自分の幸福度が上がるような世の中に、わたしはしていきたい」
静岡知事選挙の投開票日は5月26日(日)
選挙に立候補しているのは以下の6人(届出順)
諸派・新人 横山正文 候補(56)
共産党・新人 森大介 候補(55)
無所属・新人 鈴木康友 候補(66)=推薦=立憲民主党・国民民主党
無所属・新人 大村慎一 候補(60)=推薦=自民党
無所属・新人 村上猛 候補(73)
無所属・新人 浜中都己 候補(62)