これは、静岡・伊豆市の子どもたちが記者となって地元の魅力を見つけ発信する情報誌です。2024年度で12年目となりますが、携わった子どもたちの心境には“ある変化”が生まれてきていました。その取材の様子に密着しました。
伊豆市の天城高原にある「あまぎスカイアドベンチャー」。
(アクティビティを体験する子どもたち)
「余裕…ですね~ふふふ」
「ゴー!手を放せ~!」
自生するヒノキなどを利用して作られたスリル満点のアクティビティですが…子どもたちはただ遊んでいるわけではありません。
(小学6年生)
「取材もしたい遊んで楽しみたい」
(中学1年生)
「山なので何でこういう所に建てようと思ったのかなとか調べたいと思っています」
伊豆市の小中学生が自ら取材して記事を書き、地元の魅力を発信する情報誌…それが「KURURA」!制作が始まったのは2013年からで、毎年度1号ずつ発行し、2024年度で12号目となります。手掛けているのは「KURURA制作実行委員会」。企業や個人からの寄付や制作スペースの無償提供など、地域の人たちの支援があって活動が続いてきました。
写真も…記事も…イラストも…全部子どもたちのオリジナルです。伊豆市の土肥地区しかない「幻のビワ」や、修善寺に伝わる「伝統の和紙」など実際に現地を取材し、これまでさまざまな地元の魅力を発信してきました。
「KURURA」の“子ども記者”は毎年度募集し、20人から30人ほどがそれぞれチームに分かれ1年を通して8か所ほどを取材します。今回のアクティビティではどんな魅力を発掘したのでしょうか?
(小学5年生)
Q.「いつからやってるんですか?」
(あまぎスカイアドベンチャー 内田 謙司さん)
「ここは2011年の4月からやってます」
(中学1年生)
Q.「ここは車が多いかな…来る人は多いですか?」
(あまぎスカイアドベンチャー 内田 謙司さん)
「そうですね。年間大体3000人くらい来るんですが標高が900mあるんで冬は12月から3月19日まではクローズしているんですよ、雪が降っちゃうんで」
子どもたちも取材しながら一生懸命メモをとります。さらにこんな質問も…
(小学6年生)
Q.「木の所などに貼ってあるメッセージを書こうと思ったは理由は?」
(あまぎスカイアドベンチャー 内田 謙司さん)
「自然の中で生き生きしてほしいので、色んなメッセージを作ってそれに応えてほしい」
注目していたのはポイントごとに貼られた「励ましの言葉」や「言ってはいけない言葉」などのメッセージ。
(小学6年生)
「泣かない言わない諦めないとか厳しいって感じが、ぼくが成功した理由」
(小学6年生)
「アスレチックがたくさん1か所で出来る事」「伊豆市の色々ないい所を雑誌にして色んな人に知っても らうことができてうれしい」
続いての取材は…
(KURURA制作実行委員会 高橋 いづみ 事務局長)
「今回テーマとしては『伊豆の時間』でしょ。人というコラム的なページで志村さんを取り上げます」
子どもたちは「ドッグラン」へ…。伊豆・三津シーパラダイスでイルカのトレーナーをしていた志村さん。志村さんを選んだのも子どもたちです。
(小学6年生)
Q.「三津シーパラダイスでやってたけど、なぜ犬のトレーナーに?」
(ドッグトレーナー 志村 博さん)
「元々犬もボランティアでトレー ニングの指導をしていた」「いろんな動物をトレーニングするのが好きなので」「吠えたり噛んだりとかおしっこをミスするワンちゃん もいるので、快適に生活できる ようにトレーニングしたいと思ってこの仕事に就きました」
(ドッグトレーナー 志村 博さん)
「子どもの頃から伊豆の魅力を発信する習慣がつけば」「堂々と喜んで伊豆のいいところを発信できると思う」
“子ども記者”になって地元を知れば知るほど地元への愛着が深まっていくといいますが、過去にはこんなデータも…
これは、伊豆市の高校生を対象に実施したアンケート。将来、地元に住みたくない。沼津や三島、首都圏などに住みたいと答えた人が約6割も…。14年前のデータですが、当時から“地元離れ”が浮き彫りとなっているのです。しかし“子ども記者”は…。
(小学6年生)
「(読者に)あそこ行きたいなと思ってもらい、伊豆市の魅力に気づいてもらえればなと思う」
(小学6年生)
「伊豆全体の人が伊豆に自慢を持ってもらえるような、自信を付けられるような作文(記事)にしたい」
(中学1年生)
「自分たちが知らなかった場所とか魅力に気づいて伊豆市にいたいとか、ずっと伊豆市がいいなって思ってもらいたい」
静岡県内では他にも沼津や三島版など、さらに、県外では東京都文京区や鎌倉市版など全国18地域に広がりをみせています。
「KURURA」は2024年度で12年目…携わった多くの子どもたちが「伊豆に残りたい」「地元を盛り上げたい」などと言うようになってきているといいます。
小学5年生から中学3年生まで“子ども記者”だった坂ノ上さんもその一人。今は静岡市の大学に通いながら、子どもたちのサポートをしています。
(コロマガプロジェクト伊豆市版KURURA 坂ノ上 こはく さん)
「活動をしていく上で、私はこんな素敵な街に住んでいて、観光客がわざわざ来るようなところで生活していると思うようになりました」「いろんな職業にふれるので、いろんな所に興味関心が持てましたし」「自分が地元を盛り上げたいという目的目標を見つけられた」
第1号から子どもたちを見続けてきた高橋さんは…。
(KURURA制作実行委員会 高橋 いづみ 事務局長)
「携わった子たちは、この活動を通して『伊豆市に将来住みたい、 働きたいと思いますか?』と聞くと8~9割が『そう思うようになった』と言う」「『伊豆市を元気にしたいから私は戻って来たいんです』という子がどんどん出てくるようになって、これはずっと続けていることに価値があったんだなと思う、これからも続けていきたいと思います」
「KURURA12号」は10月に発行する予定で、市内の店舗や観光案内所などに置かれるということです。
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