静岡県が浜松市に建設する新野球場を巡り、市や商工会議所などでつくる「期成同盟会」が鈴木知事に多目的ドーム型スタジアムの早期整備を求めました。知事選でも争点となった新野球場計画の行方は?
14日 午後、県庁を訪れたのは浜松市の中野市長と浜松商工会議所の斉藤会頭ら「期成同盟会」のメンバーです。
(浜松市 中野 祐介 市長)
「期成同盟の名称も多目的ドーム型スタジアム建設促進期成同盟会に改めまして、今回、さらなる要望に参りました」
鈴木知事に求めたのは多目的ドーム型スタジアムの早期建設です。
県営の新野球場は、浜松市中央区の遠州灘海浜公園・篠原地区に建設される計画となっています。この構想は、2014年、県西部に県営球場がないことから、当時、スズキの鈴木修会長ら浜松経済界の要望をうけて、当時の川勝知事が建設の意向を示したものでした。
県は、ドーム型と照明のない屋外型で収容人数が異なる3つの案を示しています。ドーム型の場合、天候に左右されませんが概算の建設費は370億円に上ります。
新野球場計画の方向性は知事選でも争点の一つになりました。浜松市長時代に商工会議所とともに「新野球場建設促進期成同盟会」を立ち上げ、県に“ドーム型”を求めてきた鈴木知事。知事選への出馬会見では“新たな構想”を披露しました。
(鈴木知事)
「開放型のドーム球場にすれば370億円と言われている建設コストはかかりませんし」「密閉型はお金がかかる、開放型は空調などのメンテナンスがかからない」
鈴木知事は、コストダウンを図るための方法として、空調設備が必要ない「開放型ドーム」を提案…。選挙戦で、地元からは「人口規模に対して、県西部に県立の施設が少ない」としてドームの建設を強く求める声があがりました。
(自民党 高林 修 浜松市議)
「浜松市民からすると、例えば美術館。県立の美術館は静岡市にありますよね」「ドームを県西部につくるくらい全然問題ないじゃないですか。そう思いません、皆さん。そうですよね?」
一方、対立候補の大村慎一氏は資材の高騰で建設費がさらに上がる可能性があると指摘…。ドーム型ありきの議論をけん制していました。
(大村 慎一氏)
「浜松のドーム球場についてはゼロベースで見直して最速で野球場を整備します」
知事選の結果は、西部の市町で全て勝利した鈴木氏に対し、大村氏は中部、東部・伊豆の市町で全て勝利。ドーム型の整備に対する“地域の温度差”もあらためて浮き彫りになりました。こうした中、今週、浜松商工会議所の斉藤会頭は「多目的ドーム型スタジアム建設促進期成同盟会」と名称を変更したことを明らかに…。その意図を問われると…。
(浜松商工会議所 斉藤 薫 会頭)
「新野球場じゃないよと。多目的のドームでいろいろなことができるスタジアムにしたいといつも言ってるが…」「単なる野球場では経済効果が少ないから、同じ投資をしていただくなら、もう少し経済効果があるものにした方がいいというものが根底にあります」
「新野球場」から「多目的ドーム型スタジアム」へ。野球以外の幅広いスポーツやイベントが開催できる施設であれば幅広い理解を得やすいとの考えを示しました。また、新野球場をめぐっては浜松市選出の県議でも考えに違いがみられますが、期成同盟会は今後、浜松市選出の全ての県議に対し「顧問」への就任を要請、会派の枠を超えた“オール浜松”でドーム型の実現を後押しする狙いです。
一方、浜松市長時代からドーム型を主張している鈴木知事ですが、就任後は“慎重な姿勢”を見せています。就任後初の定例会見では、6月議会で3つの案をベースに基本計画を提示し、周辺の整備を含めた「全体の構想」を丁寧に議論する考えを示しました。
(鈴木知事)
「浜松市とか民間の皆さまの意見も聞きながらですね、さらに公園全体のですね、構想を練り上げていくのがよろしいんではないかという風に思っております」
そして14日、期成同盟会は鈴木知事に3つの要望をしました。
(浜松市 中野 祐介 市長)
「1点目としまして、自然環境に配慮し、天候に左右されない多目的ドーム型スタジアムの建設を早期に実現すること。2つ目は野球以外の幅広いスポーツやイベントも開催が可能な仕様にしていただきたいこと。3点目は、プロ野球も開催できる2万2千人規模とすること」
要望に対し、鈴木知事は…。
(鈴木知事)
「新たな協議会をつくりたい、県・市・関係者、できれば民間も。民間の知恵を最大限活用しながらコストダウンに努めながら協議していく場をつくりたい」
今後、新野球場計画はどこへ向かっていくのか、来週から始まる県議会6月定例会に注目です。
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