リニア新幹線をめぐり、JR東海が静岡市の井川地区に新設する県道トンネルについて、静岡市は12日、8月からトンネル掘削工事に着工すると発表しました。
(難波市長)
「JR東海は一生懸命やっていて、とにかく早くやろうと努力してくれているので、いよいよトンネルの本体工事に入れるのは非常に望ましいことだと思っている」
JR東海が、井川地区で建設を進めているトンネルは全長4.6キロ。現在、13キロの山道がありますが、トンネルが完成すれば大幅に距離がカットされ、時間にして約20分短縮されることになります。
現在の13キロの区間は、道幅が狭く大きくカーブした道路が目立つことから、井川地区の地元住民が数十年にわたり静岡市に対して整備を求めていたいわば「悲願のトンネル」です。
この県道トンネルをめぐっては、井川地区の地域振興のほか南アルプスのリニア新幹線静岡工区の工事用車両の通行用のために、2018年、静岡市とJR東海の間で建設費用約140億円をJR東海が全額負担して整備することで基本合意し、2025年に完成する予定でした。JR東海は、2021年にトンネル掘削工事を行うための準備工事を開始しましたが、雨による被害を受けるなどして、工事が難航。また、工事で発生する残土の置き場についても、検討に時間がかかっていました。こうした中、市は、残土の置き場を井川地区に2か所、玉川地区に1か所設置することを決めたことで、8月にもトンネル掘削工事が始まることになったのです。
(難波市長)
「発生土の置き場が明確になったほか、色々な仮設の工事などが進んできたので、いつから着工できるかだいたい固まってきたので、正式な形で発表する必要があるのではないかと思っている」
また、難波市長は、井川地区と市街地をつなぐ交通の利便性向上や、南アルプスの観光振興にも大きな効果をもたらすと、前向きな姿勢を示しました。
(難波市長)
「しょっちゅう通行止めになる場所」「時間がかかり、危険が伴い不安が伴う場所なので、井川地区の振興にとっても、あるいは生活の利便性からいっても障害になっているので、生活・観光・経済の活性化といった面で非常に効果がある」
トンネル掘削工事は、8月にも開始され、2027年度中の完了を目指すということです。
そのほか、難波市長は、静岡工区の工事着工をめぐる議論について、これまで、国、県、市がそれぞれで検討を進めてきましたが、国の報告書がまとまるなど議論が一定の段階まで進んだことから、今後、県と市が連携して協議を進める必要があると話しました。
これに対し、鈴木知事は12日、「連携は必要。トップ同士の話し合いも大変重要なので、ぜひ進めていきたい」とトップ会談の必要性について話しました。
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