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【富士山】開山初日から14日までに計4人が死亡する異常事態…富士登山での遭難がなぜ相次ぐのか(静岡)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年7月17日 17時14分

2024年も到来した「富士登山シーズン」。7月10日に開山したばかりですが、2024年は異常事態に…。開山初日からその翌日までに男性3人が亡くなり、さらに7月14日にも男性1人が死亡。死者は計4人となっていて、2023年の2人をすでに上回っています。

富士登山の入口となっている静岡県と山梨県で、2024年大きく異なるのが「入山規制」。山梨県側では2024年から登山者の上限が1日4000人、通行料として2000円を徴収する「入山規制」を導入。一方、静岡県側は登山前に事前に情報を入力する「入山管理システム」を導入していますが、山梨県と異なり、強制力はありません。先週の知事会見で鈴木知事は「静岡県側の規制」について問われると…。

(鈴木知事)

「これは国の方としっかり協議を していく必要もございますし、 まずは、ことしの状況をよく見て、 来年に向けて検討していく必要がある」

山梨県側は県有地なのに対し、静岡県側は国有地であるため国と協議する必要があることを前提に、”まずはことしの状況を注視する”と慎重な姿勢を示しました。

(鈴木知事)

「通行料の徴収と登山に関する様々な注意喚起とはまた別の次元の問題だと思うので、そこはしっかり登山者の方に、 安全な登山をしていただくよう に、今後も注意喚起を促していきたい」

山梨県では、2024年から5合目にゲートを設置して入山規制を実施していますが、さっそくその効果が…。体調不良や事故につながる「弾丸登山」の可能性がある登山者が7月1日から9日までに、2023年は1647人だったのに対し、2024年は504人と3分の1以下に減少しています。

それにしても、2024年の富士登山は、なぜ遭難が相次いでいるのか?富士宮口9合目で山小屋を営む渡辺さんは。

(万年雪山荘 渡辺 和将さん)

「始まって数日だが、毎日のように救助要請や連絡が入っている。原因は天候が悪かったのもあるが件数的には多い気がする」「悪天候に風が強くて飛ばされてけがをしたり亡くなった方もいる」

富士山の“悪天候”とはどれほど危険なのか。7月10日の山開き初日。午前中の山頂は、駿河湾が見下ろせるほどの天気でしたが…。午後になると、天気は急変。濃い霧に覆われ、数メートル先にいる人の姿もよく見えません。この日、山頂の剣ヶ峰では男性が死亡する事故が発生。救助に向かった女性は。

(救助にあたった 植田 めぐみさん)

「私たちがAEDとか準備して上がり始めたときには、馬の背という急な坂は風速10mくらいになって、心臓マッサージなど1時間ほどやったが、救助を終えて戻るときには風速20mを超えていて、私たちも身の危険を感じるほどの荒天に変化していった」

死亡した男性は、写真を撮ろうとして滑落したとみられています。

(救助にあたった 植田 めぐみさん)

「剣ヶ峰で一番皆さんが記念写真を撮る場所で、そちらで携帯電話を取り出して写真を撮っていた時だったようなので、足元を見ずに下がってしまったかもしれない」「富士山は特にご来光とか写真を撮る方が多いが、やはり前へ前へと自分が我先に一番にと写真を撮ろうと前に出てしまう方が結構いて」「常に周りの環境を確認しながら、何があるかわからないということを頭におきながら撮影してほしい」

開山初日から荒れた天気となった富士山。10年以上にわたり山頂で働きながら富士山の写真を撮り続けている植田さんは、御来光だけではない、「富士山のリアルな姿」を知ってほしいと話します。

(救助にあたった 植田 めぐみさん)

「きれいな景色やご来光だったり景色を見たくて皆さん楽しみにされていると思うが、実際、頂上に住んでみると、そういった日は限られていてなかなか毎日きれいな景色の日にはあたらず、逆に荒天が続くことは常々あることなので」「天気が悪いのが富士山頂上のリアルというのを知ってほしい」

悪天候での遭難は救助する側にも危険が。これは、7月12日、県警の山岳遭難救助隊が救助に向かうときの様子。

(静岡県警 山岳遭難救助隊員)

「進まないみんなで固まって行こう」

県警は「登山前に必ず天気予報を確認してほしい」と呼び掛けています。

静岡県側の山開きからまもなく1週間。山小屋関係者は、インバウンドの登山客がより“登山規制”の緩い静岡県側へ少しずつ流れてきていると話します。

(東富士山荘 米山 千晴 代表)

「いまのところインバウンドの方が 8割9割非常に多い」「山梨県の方の入山制限と通行料高いということも外国人から聞いている。少しずつ外国人が こっちに多いということはある」

にぎわいの一方で気になっているのが…。

(東富士山荘 米山 千晴 代表)

「しっかりとしている方もいるが、大概はビニールカッパ、短パンTシャツもいる」「雨が降ると体温が低下して奪われる」「しっかりとした装備で来ていただかないと、気温が低い中では厳しい」

いざというときの駆け込み寺となる「山小屋」ですが、まずは「自らの命を守る対応をしてほしい」と呼び掛けています。

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