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【異変】中学生スポーツの“夢の舞台”「中体連」競技種目削減の衝撃…いま 部活の現場で何が?(静岡)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年7月25日 17時23分

スポーツを行う中学生にとって、目標であり、夢の舞台なのが「中体連」。静岡県内でも今週から県大会が始まり、熱戦が繰り広げられていますが、その「中体連」や部活に、いま、異変が起きています。

現在、多くの競技で県大会が行われている「中体連=中学校総合体育大会」。サッカーやバスケなど20競技が開催されていますが、その中体連に関して、先日、衝撃の発表がありました。それは…。

「9競技で全国大会を廃止」。

全国大会を運営する日本中学校体育連盟によると、競技人口の減少や教員の負担軽減を理由に、男女ともに全国で部活動設置率が20パーセント未満である水泳、ハンドボール、体操、相撲など9競技について、3年後の2027年度から全国大会を開催しないと決めたのです。

中学生にとっては憧れの舞台がなくなる一大事。いま、中学校の部活の現場で何が起きているのでしょうか。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「おはようございます、よろしくお願いいたします」「きょうから夏休みになりました」

焼津市立大井川中学校で保健体育を担当する松浦みな美先生。小さいころから相撲を始め、日本一に何度も輝く活躍で6月にも全国大会で優勝するなど、いまも現役バリバリです。学校は、この日から夏休み。松浦先生は朝から、部活の練習に向かいます。その部活というのは…。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「午前中は男子バスケットの練習」

この中学校には相撲部がないため、相撲では何度も優勝している松浦先生ですが、いまは競技経験のない男子バスケットボール部の副顧問を務めています。

(大井川中学校 男子バスケットボール部)

「おはようございます」

(大井川中学校 松浦 みな美 教諭)

「夏休みの部活始まりますが、新チームになって初めてです。暑いので熱中症に気を付けて」

教員になって12年。これまでも経験がない陸上や卓球などの部活を受け持ってきました。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「勉強してもやったことのある人にしかわからない感覚がある」「細かい技術は専門の先生には勝てないので、子どもたちにとっても申し訳ないと思うことはたくさんあった」

松浦先生は体育を教えていて、相撲の経験もあるため、トレーニング方法や競技に臨む姿勢などは生徒に教えらえるといいますが、スポーツ経験が少ない先生の場合、それが大きな負担となっていて、生徒にとっても専門的に指導できる人が望まれます。

3時間の練習を終え、職員室へ向かう松浦先生。休憩する間もなく次の作業に取り掛かります。

(大井川中学校 松浦 みな美 教諭)

「中体連の大会があるのでプログラムとかを確認して印刷します」

「中体連」は基本的に先生たちが運営しているため、プログラムの作成や会場などの手配も行います。教壇に立つ以外にも、やることがいっぱいの先生。これらの大きな負担も、「中体連」の全国大会から9つの競技が廃止される理由の1つでもあります。

しかし、これでも、先生の働き方改革が進み、焼津市では部活の時間を平日2時間、休日3時間、週4日までに制限していて、松浦先生もその効果を実感しているといいます。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「部活については、下校時間が早くなったり土日がどちらか1日となり、昔よりは自分の時間が取れたり、生徒も空いた時間で興味のあることを追及したり、レベルアップできると思う」

勤務を終えた松浦先生の姿は、焼津市内の相撲場にありました。実は現在、焼津市内の中学校の相撲部は「地域クラブ」に完全移行していて、こちらの「やいづ相撲クラブ」には、3つの中学校から5人が所属し、小学生や社会人と一緒に相撲経験者から指導を受けています。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「部活の地域移行の利点は、専門の人が教えられること。やってみてすごく充実している」

2024年から「中体連」にも地域クラブでの参加ができるようになりましたが、その矢先に、まさかの全国大会廃止の発表…。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「ことし、静岡県では初めて女子の部を作ってもらった。来年から東海とか全国も何とかできればと思っていたので、残念だとは思う」

「中体連」の全国大会で優勝すれば、「中学横綱」の称号が与えられるといいますが、それも3年後にはなくなってしまいます。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「日本一になるのは大きな夢。相撲は一瞬その一瞬には何時間も稽古をして迎える。自分にとっても目標になるし、一番欲しいタイトルではある」

中学生からも全国大会廃止を惜しむ声が。

(中体連県大会出場 藤井 龍之介さん・中3)

「自分より下にも、すごい才能ある子はいるので、なくなるのは悲しい」

(中体連県大会出場 青木 菜南さん・中2)

「焼津は最近、小さい子も相撲をやる子が増えてきて頑張っているから、これからも大会はあってほしい」

中学3年生になったとき、「中体連」の全国大会がなくなるこの小学生は…。

(足立 翔哉さん・小6)

Q.目指すところは?

「全国」「できたら中学横綱を目指したい」

焼津市では、現在17種目が地域クラブとして開設されています。教員の働き方改革のためにも、生徒のレベルアップのためにも、新たな部活の形である地域クラブは今後さらに必要とされそうです。その一方で、競技によっては指導する人がいない場合もあり、学校との調整や運営資金の問題など、まだ課題も多くあるのが実情だといいます。

(焼津市立大井川中学校 松浦 みな美 先生)

「目指すべき大会がなくなっていしまうからしょうがないではなく、私たち指導者が中学生の目指すべき大会を作るというか、相撲がこれからも盛り上がるようにしていきたい」

先生たちの頑張りに頼るこれまでの形ではなく、新たな指導方法や大会運営に変えていくタイミングを、いま、迎えているのかもしれません。

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