58年前、旧清水市で一家4人が殺害された事件の再審＝やり直し裁判で、袴田巌さんの無罪判決に対し、9日静岡地検は控訴する権限である上訴権を放棄し、袴田さんの無罪が確定しました。
袴田巌さんのやり直し裁判は9月、静岡地裁が捜査機関による3つの証拠のねつ造を認定し、死刑が確定していた袴田巌さんに無罪判決を言い渡しました。この判決に対し８日、畝本直美検事総長が控訴を断念すると発表。畝本検事総長は捜査機関によるねつ造について「強い不満を抱かざる得ない」と批判するも袴田さんについて「法的地位が不安定な状況が続くことは相当ではないとの判断に至った」と説明。「刑事司法の一翼を担う検察としても申し訳なく思っております」とコメントしました。
そして９日午前、静岡地検が控訴する権限である上訴権を放棄する手続きをとり、これにより袴田さんの無罪が確定しました。
一方、静岡県警は９日朝、津田隆好本部長が報道陣の取材に応じました。
「袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれたことについて申し訳ないと思っています」
「袴田さんについてこのような思いをお伝えしたいという風に思っております」
死刑事件で再審無罪が確定したのは戦後5件目となります。