白いロール状のものが縦にも横にも大量に並べられたこちらの大きな機械。
これは一体何を作っていると思いますか?
ロールには糸が巻かれていて、そこから取り出されたそれぞれの糸が1か所に集められ帯状のモノが作られているようです。
実はこちらカバンのベルトや持ち手などに使われるこの部分なのです。
使われる素材によってナイロンテープやポリエステルテープと呼ばれますが、吉田町にあるこちらの「本橋テープ」はその専門メーカーで、国内のカバン向けではおよそ7割を作る業界最大手なのです。
これを1日7万メートル、直線距離なら静岡駅と浜松駅を余裕で結ぶような長さを製造しています。
横1本の糸に交差する縦の糸は数百本!!この縦糸の本数を変えることでテープの幅や厚みを調整するといいます。
(本橋テープ 本橋真也社長)
「当社では幅とか厚み、色の違いで2000アイテムほど作っています」
使う糸の色を変えることでガラ付きのものも作ることが可能でカバンメーカーなどの要望に応えて製造しています。
なかには誰もが知る超有名ファッションブランドで使われるものもあるといいます。
カバンで使われるテープの製造ではおよそ7割と大きなシェアを占めていますが、それでも社長には悩みがあるといいます。
(本橋テープ 本橋真也社長)
「地元の方でも、テープというと粘着テープを思い浮かべるので、知ってもらいたくて」
本橋テープは創業62年になりますが、企業向けの製造が多かったこともありここで、全国に誇れる高い品質のベルト状のテープを製造していることはあまり知られていないのです。
そこで!!
(本橋テープ 本橋真也社長)
「皆さんが手に持てるようなものを作ることによって、それがテープだと紹介できる」
工場で製造しているテープを使い、これまでにない商品を作ろうと自社ブランドの開発・販売をスタートさせたのです。
高度な技術を使い生み出された丈夫で鮮やかなテープを使ったトートバッグや、かわいらしいデザインのショルダーバッグ、さらには自分で色の組み合わせを選んで作れるペットボトルホルダーのキットや、ハンモックチェアまで開発してしまいました。
さらには、こんなユニークな商品も!!
(本橋テープ 本橋真也社長)
「一升瓶ホルダーです。持って注いでもらってもいいですし、持ち運ぶときは肩にかけて両手が空くという商品」
一升瓶を持ち運ぶ機会はそれほどないため、需要があるのかと思ってしまいますが、実際に販売を始めるとSNSでいいねが5.3万件もつくほど大バズリ!!
オンラインショップでは在庫切れになることもあるほどヒット商品になったそうです!
さらに、本橋テープの面白い取り組みを知ったあの大手スナック菓子メーカーの「カルビー」からコラボの依頼がきたのです。
(商品開発担当 鈴木雅士さん)
「まじですか!って感じでした」
商品開発を担当する鈴木さんはビッグなコラボの提案にいつも以上に力が入ったといいます。
そうして完成させたのが…
(商品開発担当 鈴木雅士さん)
「じゃがりこをしょって、大人も子供もお散歩できるじゃがりこホルダーを作りました」
元々「じゃがりこ」は女子高生がカバンの中に入れて持ち歩くことをコンセプトにしていて鈴木さんはその世界観を守りつつ、「じゃがりこ」を肩にかけて気軽に出かけられるストラップを作りました。
ロープ部分は「じゃがりこ」をイメージしたデザインを実現!!
さらに、一度に全部食べ切れなくてもふたを閉めて持ち運べる気遣いまで兼ね備えているのです。
開発には1年半もかかったということですが、その苦労の甲斐もあり販売を始めると予想を上回る注文がありました。
このコラボを通してヒット商品を生み出すヒントにも気づけたといいます。
(商品開発担当 鈴木雅士さん)
「今ものがいっぱいある中で、どうやって売れるかって。これ面白いじゃんとかこれやべえじゃんっていう商品がお客さんの反応が良かった」
もともとここで作られているテープの存在を広く知ってもらいたいと始めたオリジナル商品づくりですが、いまはより多くの人が便利に楽しく使ってもらえるインパクトのある商品をテープを使って生み出したいとその開発に力を入れています。
(本橋テープ 本橋真也社長)
「今はテープの価値を高めようということで、これは本橋テープのテープを使っていると自信を持って言える、テープ屋になりたいと思って取り組んでいる」
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