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【ほうじ茶の町】「富士市ほうじ茶宣言」から3年…逸品を生み出してきた地元茶農家や飲食業者の取り組み(静岡)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年10月23日 17時43分

独特の香ばしさと鮮やかな琥珀(こはく)色が特徴の「ほうじ茶」。これを活用し、町の活性化に取り組んでいるのが静岡・富士市です。今から3年前、富士市は、ほうじ茶の消費を促進する「富士市ほうじ茶宣言」をしました。その背景にあったのは…。

(富士市産業交流部 道倉 健太さん)

「煎茶だと静岡県内で差別化が難しいので、新たな切り口から富士のほうじ茶ということでPRしている」

県によると、富士市のお茶の産出額は約17億円と県内では6番目にとどまっています。「なんとか富士のお茶をアピールしたい!!」そこで目を付けたのが“ほうじ茶”だったのです。

富士市では“ほうじ茶の町”をアピールするイベントを定期的に開催する一方、地元の茶農家と連携して富士市オリジナルのほうじ茶ブランド「凛茶」(りんちゃ)を開発しました。富士市内の茶工場を訪ねると…。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「入った瞬間にお茶のいい香りがしますよ」

ちょうど、茶葉に熱を加える焙煎作業の真っ最中。これにより、煎茶から“ほうじ茶”に変わり、あの香ばしさが生まれるのです。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「いい香り…香ばしさと甘さも感じる」

こちらが「凛茶」の開発に携わった茶農家のひとり山田典彦さんです。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「なぜほうじ茶に注目?」

(茶農家 山田 典彦さん)

「煎茶はお湯の温度、茶葉の量から何から難しい。もっと簡単に飲めるものはないかと、子どもたちから提案があって」

以前から、地元の小学校で“お茶の入れ方”を教える機会が多かったという山田さん。その中で、複雑な加減が必要な煎茶よりもお湯を入れるだけで安定した味が出せる“ほうじ茶”の気軽さに目を付けたのです。

(茶農家 山田 典彦さん)

「浅炒り、深炒りの黄金比を決めてブレンドしたものを凛茶として名付けている」

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「炒り方で特徴が変わる?」

(茶農家 山田 典彦さん)

「浅炒りは香り、深炒りは味を重視ということで、僕たちの中では、ほうじ茶は香りで癒されてほしいのがあるので、香りをメインとして割合を決めて作りました」

そのこだわりの凛茶を、山田さんに入れていただきました。熱湯を入れて約1分待つだけ。わずらわしさはありません。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「おいしい、優しい香ばしさ」

(茶農家 山田 典彦さん)

「一番茶のいいところを使っている…茎の中にアミノ酸がいっぱい入っているので、甘味成分が出ている」

山田さんは、2024年2月、凛茶を開発した4人のメンバーとともに、ほうじ茶に特化した会社を立ち上げました。その名も「日本茶茶茶株式会社」。

(茶農家 山田 典彦さん)

「ひとりでは出来なかったことが、4人ならいろいろ出来るので会社にして、商品開発、イベントに出たりして、客にもっと知ってもらう。あと、力を入れるのは海外…海外に富士のほうじ茶をもっと広めていきたい」

さらに、富士市では、ほうじ茶を使ったグルメやスイーツを扱う店もどんどん増えています。2024年3月時点で、飲食店など約70軒が110種類もの商品を販売するまでになりました。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「富士のほうじ茶と書かれたのぼりが立っていますよ」

富士市本町にある、そば食事処「金時」。ここで人気なのが“富士のほうじ茶天ざる”です。ほうじ茶を練りこんだソバと衣にほうじ茶を使った天ぷらがセットになった一品。ちなみに食後のそば湯も、ほうじ茶色…。ソバはほうじ茶塩でいただくのがお勧めです。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「口に入れた瞬間から香ばしい香りが出てきて、かむと甘味も出ておいしい。ここまでほうじ茶が香るとはびっくりした」

(金時 時田 大嗣さん)

「色の濃さとか試行錯誤したが、けっこういい感じで…ソバを打っているときから、ほうじ茶の香り。作っていても楽しい麺になっている」

そして、富士市本町にある老舗洋食店「名花堂」。こちらで評判なのが…。

(名花堂 野口 幸次さん)

「ことし6月に販売を開始した焙茶香幸(ほうじちゃこうこう)です」

富士のほうじ茶を濃縮させたシロップ「焙茶香幸」。地元の食品会社と連携して開発したオリジナル商品です。

(垣内 麻里亜 アナウンサー)

「うわ~っ、おいしいですね。ほうじ茶の味と香りがぎゅっと濃縮されてる感じ」

(名花堂 野口 幸次さん)

「黒蜜に近いイメージで食べてもらえると思う」

「名花堂」では、この「焙茶香幸」をドリンクメニューやデザートに使っていますが、家庭では煮物などの料理にも活用できるといいます。

この日も、食事がてら買い求めるお客さんの姿が…。

(利用客)

「けっこう買っています。だいたい2週間に(1回)」「砂糖の代わりに使うとコクが出てとてもおいしいく仕上がる」

このほうじ茶シロップは、学校給食のデザートでも利用されているほか、地元企業とのコラボも進行中です。

(名花堂 野口 幸次さん)

「酒蔵と共同でリキュールを考えている。自分たちのところで終わらせるのではなく、地元の企業を巻き込んで、一緒に何か富士を盛り上げていくような取り組みをしていきたい」

今後も、富士市の“ほうじ茶”の進化に注目です。

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