(スタジオ解説)
(津川祥吾 アンカー)
日本が抱える課題は、当然「政治とカネ」だけでは決してありませんが、静岡8区に関しては、旧安倍派の座長を務めた塩谷立さん選挙区だったということもありますので、どうしても「裏金問題の震源地」そういった言われ方までされてしまいますが、青山さん、8区の動きをどのようにご覧になりますか?
(政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
やはり、塩谷さんが自民党を離党しましたけれども、ぎりぎりまで無所属で出馬する意向を示していたんです。自民党執行部は、無所属で出た場合は刺客を立てないという方針だったので、結局出馬を断念して、今の稲葉さんが決まったのが1か月前だったと、1か月前ではいかにも選挙戦は厳しいのですよね。やはり出遅れというのは否めない。そんな中で、野党が今回、候補者たくさん立っていますけれども、現状では、源馬さんが一歩リードという情勢なんです。全国的にみても、「裏金議員」がそのまま出ている選挙区と、この8区のように交代した選挙区と情勢は違いますけれども、やはり岸田さんが辞めて自民党総裁選になった段階で、ちょっと「裏金問題」というのは少し時代が過ぎたなという雰囲気が出た時もあったんですね。ただ、選挙になって、「裏金議員」が苦戦しているとか、非公認で大変だという報道も出るようになって、やはりもう一回焦点を集めてきた、そういった流れで、今、自民、公明が非常に厳しい状況に徐々になってきているんですね。そんな中で、やはり「裏金議員」が絡んだ選挙区というのは非常に厳しい選挙区が多くなっているという現状です。
(徳増 ないるキャスター)
はい、その自民党の非公認問題を巡り、新たな事実が分かりました。伊藤さん。
(伊藤 薫平キャスター)
はい、関係者によりますと、自民党が衆院選で非公認とした候補者が支部長を務める政党支部などに、活動費として2000万円を支給していたことが分かりました。公認候補のいない政党支部や地方組織に一律支給されたということです。これ、何が問題視されているかといいますと、公認の候補者には、公認料と活動費の計2000万円が、党本部から支給されていて、目に見えて同額ということになります。これには、野党側から、「非公認となった裏金議員への形を変えた支援だ」と、批判があがっています。そこで石破首相は、24日、このように話しています。
(石破 首相)
「政党支部に出しておるのであって、非公認候補に出しておるのではございません。そのようなカネを選挙に使うことは全くございません」
(伊藤 薫平キャスター)
石破首相は「公認していない候補者にお金を払ったのではない」と強調し。自民党の政策を有権者に伝えるために「政党支部」に対して支給した費用だと説明しました。青山さん、ロジックも含めて、2000万円の活動費の意図をどうみますか?
(政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
自民党執行部は、この2000万円は決して違法ではないですし、議員が非公認になったとはいっても、比例代表の票を自民党に入れてくださいという活動は、一方でしなければいけないんですね。そうした活動費であるとか、あと、執行部が…本音を話すと、急に非公認で決まったものだから、例えば、資金繰りが…これを当てにしていたところは急に困ってしまうわけです。そんな状況の中で、予定通り出したということなんですけれども、そういった困ることを含めて非公認ということでもあるわけですし、やはりこの公認料を含めた…同額になってますよね、せめてこの500万円くらいカットすればですね、話もわかりやすい部分もあったのに、やはり2000万円で公認候補と同じ額を出したというのは、やはり野党側が「これはステルス公認ではないか」という批判を強めるのも致し方ないことをしたなと、私は捉えています。
(津川祥吾 アンカー)
石破さんは「納得と共感の政治を」と言っていたのですが、この説明で、納得、共感する国民がどのくらいいるかなと私は疑問なのですけれども、百歩譲って…今回の活動費が2000万円が、純粋に日常的な活動費だというのであれば、選挙が終わってから出せばいいじゃないかという意見もあると思うのですが、今回、自民党にとっては、そもそも逆風の中での選挙戦が始まっていると思うのですが、この活動費の問題、選挙戦に与える影響はどのくらいあると思いますか?
(政治ジャーナリスト 元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)
正に、今、津川さんが言ったように、自民党の中からでも、せめて選挙が終わってから…それまで待つことができなかったのかと。いかにも有権者に対して「裏金問題」の反省が足りないように見えてしまうという悲鳴のような声があがっているんです。ただ、この問題が、どこまで選挙に影響するのかというのは、この段階では、まだ分からないとしか言いようがないんです。ただ、プラスであるというのは考えにくいですし、やはり、今、自公過半数取れるか取れないかぎりぎりの選挙戦になっている中で、選挙(投票日)まであと3日という最終盤に出てきたということは、やはりこれが最後の一押しになってしまう可能性もある、非常に、そういう意味では重要な局面でこのような問題が出てきたということは言えるし、注視していかなければいけないと思います。
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