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【衆院選注目区】静岡8区…“裏金問題”からベテラン議員引退し構図様変わりする中で与野党候補5人が激戦

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年10月24日 17時19分

静岡8区は“裏金問題”を引き金にベテラン議員が政界を引退し、構図が大きく変わりました。野党候補が乱立し、5人が激戦を繰り広げています。

浜松市中央区のうち旧中区、東区、南区が選挙区の静岡8区には立憲の前職、源馬謙太郎候補。維新の新人、寺島瑞仁候補。自民の新人、稲葉大輔候補。共産の元職、平賀高成候補。無所属の新人、加藤順久候補の5人が立候補しました。

この地域では、塩谷立氏が中選挙区制だった1990年に父親の地盤を継いで初当選。以来、通算10期約30年にわたって衆院議員を務めましたが、今回の衆院選には出馬せず政界を引退しました。

(自民・静岡8区 新人 稲葉 大輔 候補)

「自民党何とかしなきゃという勝手ながら大それた使命感です」「忖度(そんたく)が横行して一部の人たちだけで政策が決まる、方向性が決まる。そんなことがきっとあったからこそ、国民の皆さんの信頼をここまで損ねてしまったのではないかと思います」

自民党の新たな候補者に選ばれた新人の稲葉大輔候補は、第一声で党の体質を批判し、「浜松から自民党を変える」と訴えました。今週、推薦を受けた地元の農協で街頭演説をしました。候補者となる支部長に決まったのは9月下旬で、自身の後援会を作る時間もなく同僚だった市議が選挙戦を支えます。浜松市議を9年半務めましたが、地盤は7区に入る旧西区で、8区での知名度が課題です。

(支援者)

「ポスターも、前よりも遅ればせながらいっぱい貼ってあるよね」

(自民・静岡8区 新人 稲葉 大輔 候補)

「直前で貼ってはいけないというのがあったので、スタートしてから一気に貼っていただいて」

市議になる前は、家業のホテルを経営していた稲葉さんは、「政治とカネの問題」についてクリーンさを訴えます。

(自民・静岡8区 新人 稲葉 大輔 候補)

「スタートラインなので、きれいさっぱりやることが当たり前で、ルールを変えることが当たり前だと思っているので、意識せずに自分のやるべきことをやるだけと思っています」

一方、引退した塩谷氏は、“表立っての支援”は控えていますが、自らの地元の支援者を前に初めてマイクを握りました。

(塩谷 立 氏)

「政治資金規正法の改正いろいろありましたが、なかなか国民の理解が得られず、今回も争点になって非常に厳しい逆風の状況となっています」「最後の最後まで城北(地区)の力を発揮して必ずや稲葉大輔の当選を期していただきたい」

そして、23日は、三原じゅん子こども政策担当相が応援に入りました。

稲葉候補は「自公政権の継続」を訴え、県内の小選挙区では唯一、自主投票となった公明党支持層の取り込みも図ります。

(自民・静岡8区 新人 稲葉 大輔 候補)

「一番は経済対策です。お金に困っている人はたくさんいます。物価が上がって給料が上がらない」「子育てや教育、介護などさまざまな困りごとがあるはずなので、まずは安心感、将来への不安感をなくしていくことが政治だと思うので訴えていきたい」

一方、野党側は、自民党との一騎打ちだった前回と異なり、今回は候補者が乱立しました。

(立憲・静岡8区 前職 源馬 謙太郎 候補)

「この選挙区は、残念ながら政治とカネの問題の象徴的な地域の一つになってしまいました。だからこそ、この浜松から私が先頭に立って政治不信の決着をつける」

第一声の大半を“政治とカネの問題”に割いたのは立憲民主党の前職源馬謙太郎候補です。前回は“野党共闘”が実現し、小選挙区で初めて勝利しました。“連勝”を目指し、この3年間、地元の催しや企業をこまめに回ってきました。源馬候補が選挙戦で取り入れているのが、トゥクトゥクに乗っての遊説です。

(立憲・静岡8区 前職 源馬 謙太郎 候補)

「ありがとう!頑張るね!」

細い路地を通りながら市民と触れ合って、親しみやすさをアピールします。

(立憲・静岡8区 前職 源馬 謙太郎 候補)

「街宣車で車に囲われているよりも、知っている人だけ集めるよりも、自分から出向いていって触れ合っていくという選挙スタイルは貫いていきたいと思います」

先週末は代表選への出馬を要請し、推薦人にもなった野田代表が浜松を訪れました。

(立憲民主党 野田 佳彦 代表)

「裏金問題の震源地ではありませんか」「税金の使い道を決めるところ(国会)で税逃れをしたような連中がいっぱいいる。これでは政治に対する信頼を取り戻すことができないのではないでしょうか」「静岡8区から政権交代のうねりをつくりだそうではありませんか」

源馬候補は、街頭で「与野党伯仲の政治状況をつくりたい」と繰り返します。

(立憲・静岡8区 前職 源馬 謙太郎 候補)

「一党だけで政権運営をしていると、党内だけの合意で政策が決まってしまう」「今度は野党の政策のアプローチの仕方、どっちがいいんだろうと。それが実現可能性があれば国民も選択しやすいし、日本が前に進んでいくと思うので、政治不信に決着をつけることも、政策を前に進めることも、与野党緊張感のある政治状態は絶対に必要だと思います」

自作のロボットを従えて第一声に臨んだのは、日本維新の会の新人寺島瑞仁候補です。

(維新・静岡8区 新人 寺島 瑞仁 候補)

「国民から信頼される政治を取り戻すこと。現在の裏金問題や不正に対し、私自身会社経営者として本当に強い疑問と不信をもってきました」

寺島候補は、県内の候補者の中で最年少の31歳。父親は和歌山県の寺の住職で自身も西山浄土宗の僧侶です。大学卒業後にロボットベンチャーを起業し、2022年、支店を浜松に開設したことをきっかけに移り住みました。エンジニアとして技術革新を後押しする規制緩和の推進を掲げ、選挙戦では国会議員が応援に駆け付けます。

(日本維新の会 梅村 みずほ 参院議員)

「代々受け継がれた世のため、人のためにという教えを国会で体現していく、そしてイノベーターとして事業をやっていた。現代のフロントラインに立つ僧侶という非常に新しい挑戦者です」

街頭では「政治とカネの問題」にほとんどふれず自身の思いや政策を訴えることに費やしています。

(維新・静岡8区 新人 寺島 瑞仁 候補)

「政治家とは国民から信任をいただくのは当たり前。その上にどういう日本の未来を描くのか。築いていくのか示すのが政治家の仕事だと思っています」「裏金問題に関して多少は触れつつも、その先をお示しすることを重点的にやっています」

共産党の元職、平賀高成候補は、第一声で「政治とカネの問題」から訴え始めました。

(共産・静岡8区 平賀 高成 候補)

「裏金政治を正していくためには、企業団体献金、パーティー券の全面禁止に踏み出していかなければなりません」

平賀候補は、1996年に比例東海ブロックで初当選し、衆院議員を1期務めました。その後、2015年からは県議を1期務めました。街頭では、消費税減税や中小企業への支援、労働時間の短縮などを訴えています。衆院選への出馬は8回目ですが、これほどの“短期決戦”は初めてのようで…。

(共産・静岡8区 平賀 高成 候補)

「大変さという点では、何から何まで準備をドタバタやっているので、こんなことを忘れていたということもあって、緊張の連続というのはありますね」

平賀候補には「政治とカネの問題」のほかに、もう1つ力を入れて訴えているテーマがあります。

(共産・静岡8区 平賀 高成 候補)

「やっぱり平和の問題だと思いますね」「ウクライナやガザの問題を見ていると、日本がそうならないようにするためにも政治家の役割は本来、戦争を回避するというのが、一番大きな役割だと思っているので、航空自衛隊のある基地の街の浜松としても訴えていきたい」

無所属の新人、加藤順久候補は、78歳で初めて選挙に出馬しました。長く個人学習塾の塾長を務める経験から「教育改革」などを訴えています。

(無所属・静岡8区 加藤 順久 候補)

「今の腐った政治はしがらみ政治の成れの果て。もう限界です。私たちは、こんな腐った政治を倒さないといけないんですよ」「この日本が大切、本当に大切なんですよ。私は立て直したい」

静岡8区は「政治とカネの問題」を軸に、与野党の候補者らが激しい攻防を繰り広げています。

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