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【大変身】「工場を、誇ろう。」プロジェクトで従業員モチベーション劇的向上!“町工場”の試み(静岡・掛川市)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年11月11日 17時27分

工場に対するネガティブなイメージを変えたい。そんな思いから、あるプロジェクトを始め、従業員のモチベーションを大きく向上させた会社があります。そこで行われた取り組みを取材しました。

静岡・掛川市にある「コプレック」。1951年にいわゆる“町工場”として創業し、当初は自動車部品のプレス加工を中心に行っていましたが、現在は農業機械からOA機器まで様々な板金加工を行っています。

社長の小林さんは、家業であるこの会社を継いだ3代目ですが、ここで働き始めた20年前から問題に思っていることがあるといいます。それは…。“工場で働く人に対する扱いのひどさ”。

(コプレック 小林 永典 社長)

「自分たちの働きやすい環境であるとか、かっこよさっていうのは、ほぼなくて、時には3Kと呼ばれることすらあり、社会的な立場もあまり良いとは言えなかったと思うんですね。それってなんなんだろうってことを、ずっと思ってました」

キツイ・汚い・危険といういわゆる「3K」のイメージを持たれることも多く、実際、幼い頃から、親が働く工場を見て、「暗さ」を感じていたといいます。しかし、当時はその環境が、あまりに当たり前で、それがおかしいとも感じられませんでした。それが、いつしか、こんな疑問を抱くように…。“従業員が人生の多くの時間を過ごすこの工場が、こんなに暗くて良いのだろうか?”。胸を張って人に話せるような誇れる工場にしたい。小林社長は、「暗い」工場を変えるべく、動き出します。

それが…。“工場を誇ろう”プロジェクト。工場で働く従業員らが快適に仕事ができるようにと、2022年から始まりましたが、その中で行われていたのは、意外にも“色の整理整頓”でした。

(コプレック 小林 永典 社長)

「もともと、弊社の工場は整理整頓されていて、それなりの美しさは持っていた工場だったんですが、見た目がいまひとつだなあと、ずっと感じていたんですね。それが何かなって考えた場合に、多分、色が整理整頓されていなかったからだっていうことに気付いて」「色遣いの整理整頓を行いました」

整理されているはずが、色がバラバラのため雑多な感じがありましたが、それを、人は青、機械は赤、エリアは黄色、そして空間全体をグレーで統一。すると、工場内の雰囲気も明るく大変身。以前と比べてみても、その違いは一目瞭然です。単に空間をかっこよく着飾るのではなく、これまで作り上げられてきた使いやすさなどの“良さ”は生かしながら、色の整理整頓をしただけで、仕事上の安全性も高まったといいます。

(従業員)

「今までの工場は、暗かったりして」「安全性の確保が若干難しかったところがあると思う。ものを足にぶつけてしまったり、指を挟んでしまったり、暗かったことによってあった危険が、明るくなった工場で取り除かれたことがよかったと思います」

そして、かつて、従業員とした会話をきっかけに、快適に過ごせるようつくられたのが…、誰でも気軽に利用できるジム。さらには、ゆっくりと昼休憩をとれるような共用スペースと、バーベキューなどもできる屋上テラスまで誕生しました。「社内で過ごしたい」と思える空間を作ったことで、自慢できる“工場”になったといいます。しかし、このプロジェクトは、快適に過ごせる空間づくりだけではありません。“誇れる工場”にするため、小林社長が最も重視するのは“人的投資”。従業員の教育にも、費用を惜しみません。

(コプレック 小林 永典 社長)

「だいたい、ひとりあたり、10万円~20万円の金額を教育費として使うようにしています。教育研修も普段業務に使うことだけではなくて、自分が好きなものであれば何でも言ってこいと言ってあるので」

見た目だけではなく、“社員を大切にする工場”だと感じ始めた従業員にもモチベーションに大きな変化が現れます。

(従業員)

「ある程度、諦めていた部分がありましたけど、このプロジェクトをやるにあたって、奇麗で仕事ができることに、喜びというかやりがいを感じています」

(従業員)

「周りの人にも、こういうことやってるんだよって言うと、だいぶ感心されることが増えたので、自分が工場で働いてますっていうのも、胸張って言えるのかなっていう風には感じます」

(従業員)

「まあ、ちょっとオーバーですけど、環境も良くしてくれたんで、期待に答えなきゃなあって気分で、一歩踏み出してます」

そして、このプロジェクトを機に、就職希望者がなんと3.5倍に急増。さらに、国内企業の優れた取り組みに贈られる「日経クロストレンド BtoBマーケティング大賞2024」で、88社の中から大賞に選ばれたのです。見事に大変身を遂げた掛川市の“町工場”。小林社長は、地域経済の持続的な発展のためにも、今後、ほかの会社でも、このような改革が増えることを期待しています。

(コプレック 小林 永典 社長)

「人に対する投資。効率化を求めるのは、当然大事なんですが、あまり効率化を求めるだけではなく、従業員がちゃんと、技術が上がり、快適に仕事ができ、自分自身の人生を彩ることができるような投資、みたいなものも、今後、必要になってくるんじゃないかと思いますし、それが広まれば、日本の製造業の再躍進みたいなものも、十分、起こるんじゃないかなと考えています」

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