1000億円以上をかけ建設を進める「沼津駅の鉄道高架事業」。今、どこまで工事が進んでいるのでしょうか?また、市民の悩みを解消する高架化のメリットとは?
12日…。バスから降りてきたのは静岡・沼津市の市議会議員たち。彼らは「沼津駅鉄道高架とまちづくり特別委員会」の委員です。「鉄道高架事業」の推進を目的に設置された委員会で、今回、工事現場を視察しました。
(建設会社)
「ことしの8月に、擁壁ですとか橋台が完成しまして、お盆明けか ら足場を架け始めまして」「橋を造っているところです」
“橋を造っている”と言っても、鉄道の高架工事が始まっているわけではありません。ここは、壮大な事業の“第1弾”となる「新貨物ターミナル」の工事現場なのです。
そもそも、この「鉄道高架事業」とは、JR東海道本線を3.7km、JR御殿場線を1.6km高架化するもので、これにより13か所の踏切が無くなるといいます。しかし、「高架工事」はすぐには始められません。まず、沼津駅周辺にある「貨物駅」と「車両基地」を移転させる必要があるため、それぞれ新たな施設を造ることから始まります。
それが“第1弾”の「新貨物ターミナル」。本体工事は2023年10月から始まっていて、“第2弾”の「新車両基地」の建設は来週木曜から始まります。そして“第3弾”の「高架工事」は2028年度に始まる予定で、完了は16年後の2040年度の見通しとなり、全体の事業費は1034億円です。
“第1弾”の「新貨物ターミナル」。
(沼津土木事務所)
「今、見えている黒く舗装してある所がコンテナホームの一部です」
貨物列車は通常の電車よりも遥かに長く、最長で550mにもなります。そのため、ターミナルと言ってもその延長は2.1kmにもなります。そして、中央に見えてきたのが冒頭紹介した「橋」です。
(沼津市沼津駅周辺整備部推進課 遠藤 重由 課長)
「貨物列車に積む荷物を積んだトラックが場内に入る際、 線路をまたいでコンテナホーム に入るための『跨線橋』と呼ばれる橋です」
視察を終え、市議の浅原委員長は…。
(沼津駅鉄道高架とまちづくり特別委員会 浅原 和美 委員長)
「初めて見に来まして、こんなに形ができていてびっくりしました」「沼津駅の北口と南口が遮断されている感じがありますから」「とにかく、一日も早く高架化を実現させてですね」「踏切が13か所とれるというの が発展につながると思う。渋滞のあるところに発展はないといいますから」
委員長も言っていた“街の課題”、それが「北口と南口の分断」、そして「渋滞」です。13日朝も…。
(三間 将一 カメラマン)
「朝の7時半です。通勤時間帯で こちらの三つ目ガードかなり渋滞しています」
そして、ガード下の道路では大雨が降るたびに道路が冠水…。車の水没や通行止めも長年の問題となっていました。こうした課題は、高架化に伴う「踏切の廃止」や「道路のフラット化」により解消されると期待されています。また、沼津駅の「北口と南口の分断」も大きな課題です。
(坂井 太一 記者)
「沼津駅南口です。北口へは真っすぐ通り抜けることはできません。北口へはどんなルートなのか、また時間も測ってみます」
途中でガード下をくぐりますが…。
(坂井 太一 記者)
「ここは道幅が狭く、自転車は降りて通らなくてはなりません」
そして…。北口へ行くのに、約5分かかりました。
(沼津市民 主婦・20代)
「ここ(北口)からだと、『あまねガード』をくぐらなければ ならない。それが不便。雨だと冠水してしまう」「つながりが良くなれば、すごく助かるなと思います」「新しいお店とか、活気がある街になってくれたらうれしい」
さらに、市がこの事業に伴い目指しているのが、駅周辺を“「車」中心から「人」中心の空間”にすることです。これまでも、駅前の一部の道路を歩道にして期間限定で飲食店を設置。こうした社会実験を重ね、交通への影響や人の流れなどの調査を続け、新たなまちづくりの準備を進めています。
様々な効果が期待される高架化。
(沼津市沼津駅周辺整備部推進課 遠藤 重由 課長)
「鉄道が高架化されることによって、駅前広場も生まれ変わり ますし、高架下に空間もできるので、新たな商業も生まれくる」「にぎわいのある街にしていきたい」
2040年度に完成する見通しの鉄道高架化。今後も、進ちょく状況や駅周辺のまちづくりの計画に注目が集まります。
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