(川勝前知事)
「6月議会をもって、この職を辞そうと思っています」
川勝前知事が突然辞職を表明してから、怒涛の展開をみせた県政。
5月26日には、鈴木知事が当選。新しい知事が誕生してから、半年が経ちました。26日、鈴木知事は定例の記者会見で、この半年間について振り返りました。
(鈴木知事)
「スピード感もって県政に対応するということを心掛けてきた。例えばリニアの問題ではすぐに国土交通大臣やJR東海の社長にお会いし、流域市町の皆さんとの意見交換を行ったことで全体の概要を把握し解決に向けて動き出した」
このほか、産業面ではスタートアップや企業誘致の促進、防災面では半島防災への着手など「出来ることから進めている」と、話しました。
県民は、鈴木県政をどう評価しているのでしょうか…?
(静岡市民)
「半年という期間なので、ちょっと判断するには難しい」「リニアのこととか足踏みしていた状態だったので、それが動きだしているのかな。すぐやることはやっているのかなという印象」
(静岡市民)
「市長の経験が長かったから、そんなに違和感なくテレビの画面では見ている」
(静岡市民)
「リニアの関係は前向きになったのかなということと」「市長との関係が親密になればより一層いいかなとは思っています」
県内の政治・行政に詳しい、静岡産業大学の小泉祐一郎教授は…。
(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)
「川勝県政で進められた政策を、やり方に経営的センスを入れるかたちで進めている。いまは『安全運転』をしているのが、全体的なイメージ」
小泉教授が挙げた評価のポイントから、「政策の変更」「政策の進め方」「県議会との関係」の3つを聞きました。
1つ目の「政策の変更」については…。
(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)
「政策的には年度途中なので、大きな政策変更はなかなかできない。そういった中で、リニアについてはリニアそのものの推進という政治姿勢を明確に鈴木知事は出されていますので、そういった点でリニアについては政策的なスタンスの違いが出ているかなという風に思う」
大きく変わったのは「リニア」。ボーリング調査を巡って、川勝前知事のころは、県境300メートル以内の調査を認めてきませんでしたが、鈴木知事は6月にこれを認め、9月には県内での実施も認めました。ただ、そのほかの政策面では、まだ「鈴木色」は見えてこないといいます。
(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)
「内容については、すでに予算がついているので、そういった中で大きく変えないと。知事が変わったのだけど、政策はどう変わっていくのかなというところがまだみえない。鈴木色をどの段階でってことになるのだが、これは(2025年度の)予算編成の段階で、これから出てくるのかなという点で、そこの鈴木色をどう出すか注目したい」
2つ目の「政策の進め方」については。
(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)
「川勝流は学者でいらしたので、理念とか考え方、大きな方向性を重視していてやっていたが、鈴木知事は経営的な感覚。いかに同じ予算でも効果を出すか、というところを相当注意されていると思う。県政運営の手法が経営重視になっているなという点では変化があると思う」
3つ目の「県議会との関係」。
川勝前知事時代には、「コシヒカリ発言」を発端に、史上初めて知事への辞職勧告決議が可決されたり、その後の「給与未返上問題」では不信任決議案が提出されるなど、県議会最大会派「自民改革会議」との対立が目立っていました。
(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)
「川勝前知事は、自民党との関係でどうしても対立的な構図があったんですが、鈴木知事ではそういったことではなくて、自民党との関係もある程度ちゃんとコミュニケーションをとっていくということに相当心をくだいているので、そういう意味では、議会との関係も自民党との関係ではコミュニケーションがとれるようになったと思う」
ただ、その中でも、9月に起きたのは、副知事人事案を巡る問題。鈴木知事は、森貴志副知事を退任させ、浜松市の財政部長を務めた平木省氏を起用する案を県議会に提出しようとしましたが、最大会派の自民改革会議から、「事前の説明が不十分」「浜松市に偏ったような人事案」などと反発の声が上がり、結局、見送られる事態に。
(静岡産業大学 小泉祐一郎 教授)
「やはり、議会との事前のコミュニケーションというか情報交換とか、その点ではまだ模索しているところがある」「これは、ある程度時間がたてば、コミュニケーションの取り方がある程度しっかりしてくると思う」
自民改革会議の相坂代表は、この半年の評価について、「実際に鈴木知事のカラーが出るのはこれからなので評価もまだこれから。リニアなど課題への迅速な対応や、議会での誠意ある対応は一定の評価をしている」と話しています。
この記事の動画はこちらから再生できます