静岡から世界の頂点を目指すスノーボード・アルペン競技の三木つばき選手。スラロームのタイムを競うアルペン競技で世界と戦う三木選手。2022年の北京オリンピックで9位、2023年に行われた世界選手権では、アルペン競技で日本人初の金メダルを獲得。さらに、2026年のミラノオリンピックでも金メダルを狙うスノーボード界期待のアスリートです。
昨シーズンも2度の金メダルを獲得した三木選手。その自宅を番組スタッフが尋ねると、昨シーズンだけでもスーツケースいっぱいのトロフィーやメダルが。
(三木つばき選手・浜松いわた信用金庫所属)
「今シーズンワールドカップの総合ランキング2位。これは自己最高。これ実際の総合2位のメダル。来シーズンは1位のメダルを持って帰りたい。こちらは種目別女子大回転総合2位のメダル。この二つを金メダルにしたい」
三木選手が世界を目指したのは小学生のころ。スノーボードのインストラクター日本一にも輝いたことのある父、浩二さんにあこがれ、代表入りを誓ったのです。
(三木つばき選手)
「代表に入らないと五輪には出場できない。15歳から入れるので、15歳で日本代表に入り18歳で北京五輪があるので、3年しっかり練習して出たい」
小学生にとっては途方もない夢。しかし、それを実現するために三木選手は思い切った行動に出たのです。それは、冬の長野県でたった一人4か月間の山ごもりをすること。3年生から6年生までの4年間、スノーボード三昧の生活を送ることで大きく成長、北京オリンピックにつなげていったのです。その間、洗濯や食事などはもちろん自分ですべてこなし、勉強もしっかりと続けることで、学校にも特別に認めてもらったのです。それでも…。
(三木つばき選手)
「世界一になるためにやっていると思えば、全然つらくはない」
しかし、実力だけでは続けられないのがスノーボード競技。海外遠征ともなると、その費用は年間で1千万円以上にもなり、ほとんどの選手はスタートラインに立つことすら難しいのです。そのため、オフシーズンの間は、三木選手の活動を支えてくれたスポンサーを訪ね、お礼やシーズンの報告を欠かしません。
(三木つばき選手)
「サポートしてくれる人がいなければ、競技活動が何一つ成り立たない。国内でトレーニングすることも、海外遠征なんてもってのほか」
だからこそ、一人でもスノーボードを好きになり、メジャーな競技にしたいという思いから、積極的に人前に出て、スノーボードのすばらしさを伝えているといいます。
(三木つばき選手)
「来年、この場に立って、『この目標を達成しました』と報告できるように頑張りたい」
大きな目標を掲げ、10月、ヨーロッパ遠征に出発した三木選手。その準備から大変なんです。個人で遠征するアルペンスノーボードでは、自分の荷物はすべて自分で運ばなければなりません。ボードやウェア、そして長期を過ごすための食料に日用品など。膨大な荷物を詰め込むだけでもひと苦労。しかし、中国で行われるワールドカップ開幕戦に向けては、どれも必要なものばかり。遠征も、その努力があって、充実したものになったといいます。
(三木つばき選手)
「去年よりもかなり雪が豊富なシーズン。中国は雪が降りにくいが、その分、降雪機で雪を降らせる国なので、雪は安定していていいイメージ。ゲレンデには不安は全くない」
最高時速70キロにもなるというアルペン競技。スピードに乗るための体重と、カーブでそのスピードを受け止めるための筋力は、勝つために非常に重要な要素。オフシーズンには、体幹をメインに徹底的に強化してきました。
2025年3月の世界選手権はもちろん、今シーズンと来シーズンはオリンピック代表の参加資格もかかる大事なシーズン。8位以内に入ることで資格はクリアとなりますが、対象者が多かった場合、さらなる結果を出しておくことが重要になります。三木選手も、自身が掲げるオリンピック金メダルに向け力強く目標を語ってくれました。
(三木つばき選手)
「ことしは特に、もっとパワーを増やすため、体重を増やすように取り組んでいる。今年は食事も必要以上にとるように意識していたし、体重70キロ以上にしたかったが、ここ数年70キロに到達しなかった。ことしは71(キロ)まで引き上げてよかった。目標はベスト4進出率70%、世界選手権の連覇を目標にしている」