生活に欠かせない便利な自転車が盗まれる被害が、ここ数年、増加しています。静岡県内の現状や、盗まれないために何をすべきか、紹介します。
防犯カメラが捉えた自転車が盗まれる瞬間です。画面右から歩いてきた人物が壁際で立ち止まります。別のカメラには…周りを一切気にせず自転車を持ち出す様子が…。犯行は一瞬。堂々と立ち去りました。
県警によりますと、このような自転車盗難被害が、近年、県内で急増。3年前に1991件だった被害が、2023年は2586件と年々増加。2024年も、11月中旬時点で2398件を数え、前年を上回る勢いです。
相次ぐ盗難に悩んでいるのが浜松市です。駅前の市営駐輪場の全てが無料で使える一方で、盗難被害が後を絶たないのです。
(浜松市 道路保全課長 鈴木 智彦さん)
「駐輪場に止めた自転車が見当たらないといった問い合わせや、有料でもいいからもっとセキュリティーの高い駐輪場を紹介してほしいといった声をいただくことがある」「防犯カメラを各所に設置したり、明るい照明への取り替えを行っている。巡回パトロールをほぼ毎日実施していたり、防犯のパネルやビラを配ったりなど、啓発活動を行っている」
しかし、これでも被害は絶えません。また、駐輪場に放置された自転車も目立つため、浜松市では、駅周辺の駐輪場の有料化を進め、盗難被害を減らそうとしています。
なかなか減らない自転車盗難。最近は、転売目的の盗難が増えていると、警察では分析しています。
(県警本部 生活安全企画課 増田 修 次席)
「ロードバイクは転売目的で盗む場合が多い。中でも、グループで窃盗をして転売をしてお金もうけで盗むといった場合が多い。ロードバイクは前輪が簡単に外れるので、タイヤだけ盗むとか、サドルだけ盗むとか、部品狙いのような手口も非常に多くなっている」
自転車は、どんなところで盗まれているのでしょうか?2024年1月から10月までに盗まれた被害を分類すると、自宅の敷地内が約4割と最も多く、次いで、駅の周辺が約3割を占めています。そして、盗まれた自転車の約8割は施錠されていませんでした。鍵をかけていなければ、どこにあっても盗まれてしまうのです。盗まれた自転車は、乗り捨てられて放置されたり、高級なロードバイクなどは、オンラインのフリーマーケットなどで見つかることもあるといいます。盗難被害に合わないために重要なのが、やはり「カギ」です。
(県警本部 生活安全企画課 増田 修 次席)
「少しの時間でも油断することなく施錠は確実にしていただいて、二重のロックを可能な限りしていただきたい」
自転車販売店で、特に盗難防止効果が高いアイテムを聞きました。
(サイクルスポット 湯前 秀昭 店長)
「こちらは中が鎖でできていて番号であくタイプ」「フレームの中に必ず通してもらってロックする」「これを付けていても、このまま持っていけるので、それを防ぐためにも長さがあるものを用意してもらって、どこかに巻けば、そこから持っていかれることはなくなる」
切られにくいだけでなく、自転車ごと持っていかれないよう、周りの物を巻き込んで施錠できるタイプを勧めています。一方、地域で防犯に取り組むところもあります。富士宮市では、11月14日、高校生ボランティアが、防犯ボランティア団体から贈られた防犯機器をJR富士宮駅の駐輪場に取り付けました。
(音声案内)
「鍵をかけてください」
ボランティア活動を行う高校生は…。
(生徒)
「今回、取り付けさせていただいた機器が、みなさんの大切な自転車を守っていける役目を、ちゃんと果たせるようになってほしいなと考えております」
そして、施錠とともに重要なのが、防犯登録です。義務化されているため、ネット通販などで自転車を買った場合は、自分で防犯登録をする必要があります。県警によりますと、2023年、戻ってきた盗難自転車の割合は約6割。不幸にも盗まれてしまっても、防犯登録されていれば、発見された時に手元に戻ってくる可能性が高まります。
(県警本部 生活安全企画課 増田 修 次席)
「盗まれた自転車が発見された場合、防犯登録を確認することによって、所有者がすぐ判明するケースがあるので、防犯登録は必ずしていただきたい」
そして、言うまでもなく、自転車を盗むのは犯罪です。
(県警本部 生活安全企画課 増田 修 次席)
「自転車盗とはいっても窃盗罪で重罪であるので、10年以下の懲役、又は50万円以下の罰金で重罪であるので、罪の重さも認識していただきたい」
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