8月、運用開始以来初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」。お盆シーズンを前に出されたこの発表で、認知度は大きく高まりましたが、今後の課題も見えてきました。
8月8日、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生、宮崎で震度6弱などを観測しました。この地震を受け、気象庁は…。
(気象庁の会見)
「南海トラフ地震臨時情報巨大地震注意を発表しております。南海トラフ地震の想定震源域では、新たな大規模地震の活性の可能性が、平常時と比べて相対的に高まっていると考えられます」
2019年の運用開始以来、初めてとなる、「南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』」を発表しました。翌日から各方面に影響が出ました。
(辻本 真生 記者)
「午前8時半過ぎのJR静岡駅です。一部新幹線で速度を落として運行していますが、特に 目立った混乱はありません」
JR東海は「巨大地震注意」の発表に伴い、東海道新幹線の三島-三河安城駅間の上下線で、通常より速度を落として運行することを決めました。静岡市内のスーパーでは、多くの客が水や缶詰などを求め、一部の商品には購入制限が設けられました。また、焼津市は予定していた焼津海上花火大会の延期を決めました。1週間後、8月15日に「南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』」の呼びかけが終了。今回の発表について市民に聞いてみると…。
(市民)
Q.出る前って知っていました?
「知りませんでしたそういったものがあるとは知らなかった」
(市民)
「発表で知って、ねぇ、心配だよね」
しかし、今回の発表が契機となり、「南海トラフ地震臨時情報」の認知度は大幅にアップしたようです。
静岡県が、8月末から9月上旬にかけ、県民約6000人を対象に行った調査では、66.1%の人が「概ね内容を理解し知っている」と回答、前年度の37%から大幅に上昇しました。また、自宅からの避難先、避難経路を確認したかを聞いたところ、計約8割の人が「確認した」、または「日頃から確認している」と回答しました。この結果に県の担当者は…。
(山田 勝彦 県危機報道官)
「静岡県では、『地域防災の日』ということで、12月の第一日曜日を中心に各自主防災組織で避難訓練などを毎年行っております、いわゆる防災というものが、文化として根付いている、全国でも有数の防災に関心の高い県であると思います」
一方で、課題も明らかとなりました。
(山田 勝彦 県危機報道官)
「いわゆる備蓄、食料、飲料水、それから携帯用トイレといったものを1人7日分以上、かける人数分を備蓄して下さいということをお願いしているが、実際に備蓄していた人が1割から2割程度に留まるといった課題が明らかになった」
また、臨時情報の発表により、予定を中止または変更したかについて聞くと、18.2%が「中止・変更した」と答え、「しなかった」は24.1%でした。
(山田 勝彦 県危機報道官)
「一部の、いわゆる公共交通機関であるとか、店舗、それからイベントなど、やはり、それぞれ対応が分かれた」「情報をどのように消化していいか、皆さん、非常に苦労されたのではないかと思います」
情報が発表された場合の行動指針などについては、国でも検討が進められていて、20日にとりまとめられた改善策では、今後、自治体が参考となるような事例集を作るということです。
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