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【解説】新年度予算与野党攻防から参院選まで課題山積の石破政権展望を政治ジャーナリスト・青山氏が詳しく

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2025年2月4日 19時36分

(スタジオ解説)

(高山 基彦 キャスター)

ここで、政府予算案に対する野党各党の修正要求についてまとめます。維新からは、高校授業料の無償化や社会保険料の負担軽減など、国民からは「103万円の壁」について与党が決めた123万から178万円への更なる引き上げ。立憲民主からは、予算案の無駄の削減、そして、その削減分で公立小中学校の給食費無償化を実施すること…などです。

(津川 祥吾 アンカー)

青山さん、この野党側の…維新、国民民主、立憲の修正の要求の主なものなのですが、私たち一般国民からすると、どれもぜひ実現してもらいたいなというものばかりなのですが、実際、与党との間の協議はどのような形で進んでいるのでしょうか?

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

予算を修正するとなると、衆議院の通過までにやらなければいけないとなると、やはり2月の中旬くらいまでには妥結していなければならない。そうすると、あと1か月も無いのですよ。だけれども、この段階になっても、まだ、どこをのむのか、どこを優先順位をつけていくのか…などはまだ見えてきていないのです。本当に、この3党ばらばらに協議しているのですけれども、その辺の絵図とか、シナリオというのはまだ読めない。場当たり的にやっているところがあるのです。ただ、今の状況をいうと、国民民主党は、榛葉幹事長も怒っていましたけれど、178万円への引き上げというのをかなり強硬に言ってきているのです。やはり世論が、今、国民民主党をかなり支持していますので、彼らにとっては簡単に妥協できなくなっている。そういう意味では、自民党にとっては、ちょっと満額は厳しい中で、国民民主党との協議は「黄色信号」。かといって維新も、最初は高校授業料の無償化だけかと思ったら社会保険料の負担軽減も言ってきましたし、立憲民主党は、そもそも簡単には賛成には回ってこないとみられていますので、そういう意味では、まだまだ、ちょっと先は見えないというところかと思います。

(津川 祥吾 アンカー)

今回の通常国会の予算委員会、こういう言い方は良くないかもしれませんが、珍しく「予算の議論をしている」…というのが私の印象なのですけれども…

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

そうですね、中身の議論をしていますよね。

(津川 祥吾 アンカー)

野党側は、どちらかというと、予算委員会といいながら、それ以外の議論ばかりをしているというのが多かったのですが、今回、予算をなるべく通さない、というよりも…何らかの形で通そうとするという…普段とちょっと違う雰囲気ですよね。

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

そうですね。それはやはり少数与党だからということもあるのですけれども、こちらの画をみていただければわかるのですが、野党…今、3党と交渉していますけれども、玉木(国民民主党)さんはそうではないにしても、実は維新の前原共同代表、そして、立憲の野田代表とは、石破さんは盟友関係ともいっていいパイプがあるのですね。石破さん本人に取材しても、前原さんと野田さん、それぞれ代表というのは本当に良い巡り合わせで、「ぼくじゃなきゃこの交渉はできない」くらいの変な自信も持っているんです。そういった状況の中で、この野党3党ともに、もちろん取るものは取りたいのだけれども、「今、石破さんを引きずりおろそう」「予算を人質にとって石破さんを交代させよう」とは思っていないのです。そこが、今、石破さんにとってはある意味、強味になっていて、交渉をしながら、なんとか予算を成立にはこぎつけられそうだ…という感覚を持っているというような状況です。

(津川 祥吾 アンカー)

自民党内ではどうなのですか?

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

一方で、自民党とはやはりパイプは少ないのが石破さんの問題なのです。やはり予算の交渉の中で、あまりに野党に妥協しすぎると、非常に自民党内からは、また、不興を買うのです。特に、今、問題となっている企業団体献金の見直しとか、この先に出てくる夫婦別性の話などで妥協をすると、今は高市さんとか小林さんの写真が出ていますが、この人たちは、「やはり許せない」となってくる可能性があって、もうすでに予算が成立した後、ポスト石破…「石破おろし」を仕掛けてもいいようにということで、今、勉強会なども開いて、虎視眈々と狙っているのです。ただ一方で、石破さんが緊急で倒れた場合は、今の官房長官の林さんを担いだ方が良いという声もあって、自民党内がにぎやかになってきていると…。

(津川 祥吾 アンカー)

ですから、なんとかこの予算については、野党側となんらかの妥協をして、修正をのんで成立させる。ちょっと手続きは時間がかかっているので、ひょっとしたら、新年度始まるところに間に合わないかもしれないけれども、それは一時的な暫定予算でなんとか乗り切る。でも、その後は、自民党の中で、いわゆる「政局」がおこるかもしれない…そのような流れですか?

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

野党側は石破さんで参議院選挙までいってほしい…、その方が自分たちは勝てると。だけれども、自民党では、やはり参議院選挙は、石破さんのままでは…政治とカネの問題も引きずっていますし、勝てないから変えた方が良いという声は、まだ根強くて…、自民党内では人気のない石破さん、だけど野党からは続けてほしいと思われているという、「ねじれ現象」が起こっているということなのです。

(津川 祥吾 アンカー)

その中で、石破さんは、どのような戦略をとっていきそうでしょうか?

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

石破さんは、このまま低空飛行でも参議院選挙に突入していって、なんとか「謙虚さ」を売りに勝っていきたいのですが、「謙虚さ」といういと、やはり「守り」なのですね。何か打って出ていくという感じがしない。そんな中で、自民党内では、やはり参議院選挙では、かなり厳しい戦いになるという見方がすでに強まっている。そこで、もし、自民党と公明党が過半数を割るというようなことがあると、石破さんは、その時は連立政権を組んでいかないと政治が動かないから、まさに「パイプ」を生かして…ともすれば野田さんとの大連立も組んでもよいのではないか…それで、「中道政治」というか、穏健な大勢力を作って、例えば「皇室典範」の見直しとか、「税と社会保障の一体改革」とかを進めるという構想も、すでに、実は、検討には入っているのです。まだ、やるかどうかわからないけれど検討は始まっていると。

(津川 祥吾 アンカー)

ただ、参議院で、自民、公明が負ければ…それこそ石破さんは必ず降りなければならない…勢いは強くなるでしょうから、それで連立を組むとなると、要するに「政界再編」が起こるかもしれないと…。

(政治ジャーナリスト・元日本テレビ官邸キャップ 青山 和弘さん)

そうです、もちろん、そうです。例えば、「大連立」という話になると、立憲の中からも「そんなの乗れない」という人が出てくる。自民党の中からも保守派は、やはり離反する可能性がある。ただ、それくらい「政界再編」の可能性にかけてでも、そういった「中道政治」を目指すという…ちょっと政局がどうなるかわからない。カオスの状態になる可能性もある、重要な参議院選挙になる可能性はあると思います。

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