日本時間2022年10月15日、スペースXの有人宇宙船クルードラゴン「フリーダム(Freedom)」が地球へ帰還しました。同船に搭乗していたのは、アメリカ航空宇宙局(NASA)のチェル・リングリン(Kjell Lindgren)宇宙飛行士、ボブ・ハインズ(Bob Hines)宇宙飛行士、ジェシカ・ワトキンス(Jessica Watkins)宇宙飛行士、それに欧州宇宙機関(ESA)のサマンサ・クリストフォレッティ(Samantha Cristoforetti)宇宙飛行士です。
4名は国際宇宙ステーション(ISS)への有人飛行ミッション「Crew-4」のクルーとして、日本時間2022年4月27日にケネディ宇宙センターを飛び立ち、翌28日からISSに滞在していました。約6か月間の滞在を終えた4名を乗せたクルードラゴン「フリーダム」は、日本時間10月15日1時5分にISSから分離。約5時間後の同日5時55分(米国東部夏時間10月14日16時55分)、同船は米国フロリダ州ジャクソンビル沖合の大西洋上へ着水することに成功しました。
NASAによると、4名はISSで合計170日を過ごし、その間に地球を2720周しています。リングリン飛行士とクリストフォレッティ飛行士は今回が2回目の宇宙飛行で、宇宙滞在日数はそれぞれ合計311日と369日になりました。ハインズ飛行士とワトキンス飛行士は、今回が初の宇宙飛行でした。クリストフォレッティ飛行士の合計宇宙滞在日数は、現時点で女性宇宙飛行士としては歴代2位の記録です(※)。
※…1位は元NASAの宇宙飛行士ペギー・ウィットソンさんの合計665日。
Crew-4のミッション期間中、ISSではさまざまな科学実験や技術実証が行われましたが、特にクリストフォレッティ飛行士とESAにとっては記録に残るミッションになったようです。2022年7月、クリストフォレッティ飛行士はロスコスモスのオレッグ・アルテミエフ(Oleg Artemyev)宇宙飛行士とともに自身初の船外活動を行いましたが、これはESAの女性宇宙飛行士として初の船外活動でもありました。
また、クリストフォレッティ飛行士は9月28日からISSのコマンダー(船長)を短期間務めましたが、こちらもESAの女性宇宙飛行士としては初めてでした。男性宇宙飛行士の占める割合が高い宇宙開発の分野でも、女性の進出が進んでいることを実感する出来事です。
なお、Crew-4の4名がISSを出発するのに先立ち、日本時間10月7日には「Crew-5」ミッションの4名がクルードラゴン「エンデュランス」でISSに到着しました。Crew-5には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士ら4名が参加しており、2023年4月頃まで約6か月間ISSに滞在する予定です。
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Image Credit: NASA/Bill Ingalls, ESA/NASA/Roscosmos NASA - Space Station (NASA Blogs) ESA - Memories of Minerva – Samantha Cristoforetti returns to Earth文/松村武宏