ロシアは10月13日から10月26日にかけて、相次いで5回のロケット打ち上げを実施しました。搭載されていた衛星や補給船はいずれも無事に軌道へ投入されたことを、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスがテレグラムなどで発表しています。
打ち上げに関する情報は以下の通りです。
■プロトンM/ブロックDM-03(アンゴサット2)打ち上げ日時:日本時間2022年10月13日0時0分【成功】
発射場:バイコヌール宇宙基地(カザフスタン)
ペイロード:アンゴサット2
「アンゴサット2(AngoSat 2)」は、アンゴラ共和国の通信衛星で、同国をはじめアフリカや欧州の一部に向けて静止軌道からテレビ放送や通信サービスを提供します。同衛星はバイコヌール宇宙基地から、「ブロックDM-03」上段ロケットを搭載した「プロトンM」ロケットで打ち上げられました。
アンゴサット2は2017年12月に打ち上げられた通信衛星「アンゴサット1」の後継機となります。アンゴサット1は打ち上げに成功したものの、軌道投入後にトラブルが発生して失われていました。
■アンガラ1.2(EMKA-3)打ち上げ日時:日本時間2022年10月16日4時55分【成功】
発射場:プレセツク宇宙基地(ロシア)
ペイロード:EMKA-3(コスモス2560)
「EMKA-3(コスモス2560)」は、ロスコスモスによるとロシア国防省の衛星とされていますが、詳細は明らかにされていません。同衛星はプレセツク宇宙基地から、「アンガラ」シリーズの軽量型「アンガラ1.2」ロケットで打ち上げられました。アンガラ1.2の打ち上げは2022年4月以来で、今回が2回目です。
■ソユーズ2.1v/ヴォルガ(コスモス2561/コスモス2562)打ち上げ日時:日本時間2022年10月22日4時20分【成功】
発射場:プレセツク宇宙基地(ロシア)
ペイロード:コスモス2561、コスモス2562
「コスモス2561」と「コスモス2562」もロシア国防省の衛星とされていますが、EMKA-3と同様に詳細は明らかにされていません。2機の衛星はプレセツク宇宙基地から、「ヴォルガ」上段ロケットを搭載した「ソユーズ2.1v」ロケットで打ち上げられました。
なお、ロシアの人工衛星(またはミッション)には「コスモス+数字」といったコードネームが付けられています。たとえば、2022年7月7日に打ち上げられた測位衛星「GLONASS-K」には「コスモス2557」という名称が用いられていました。
■ソユーズ2.1b/フレガートM(ゴネツM33/M34/M35/スキフD)打ち上げ日時:日本時間2022年10月23日4時57分【成功】
発射場:ボストチヌイ宇宙基地(ロシア)
ペイロード:ゴネツM33、ゴネツM34、ゴネツM35、スキフD
「ゴネツM(Gonets-M)」シリーズは、ロシアの軍事通信システム「ストレラ(Strela)」から派生した民間の低軌道衛星通信システムで用いられる通信衛星です。「スキフD(Skif-D)」は技術実証衛星で、ロシアが構想している多目的低軌道衛星コンステレーション「スフェラ(Sfera)」最初の衛星として、高速インターネットアクセス向けの新しい技術ソリューションおよび軌道上周波数リソース保護のテストに用いられます。
ゴネツM33、ゴネツM34、ゴネツM35、スキフDの4機はボストチヌイ宇宙基地から、「フレガートM」上段ロケットを搭載した「ソユーズ2.1b」ロケットで打ち上げられました。
■ソユーズ2.1a(プログレスMS-21(82P))打ち上げ日時:日本時間2022年10月26日9時20分【成功】
発射場:バイコヌール宇宙基地(カザフスタン)
ペイロード:プログレスMS-21
「プログレスMS-21」は、国際宇宙ステーション(ISS)への約3トンの物資を搭載した無人補給船です。プログレス補給船はバイコヌール宇宙基地から「ソユーズ2.1a」ロケットで打ち上げられました。ISSへのドッキングは打ち上げから2日後、日本時間2022年10月28日11時49分に予定されています。
なお、プログレスMS-21の打ち上げは今年3回目のプログレス補給船打ち上げであり、ロシアが今年実施した19回目の打ち上げとなりました。
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Image Credit: Roscosmos, Yuzhny Space Center, ロシア国防省 Roscosmos (Telegram)文/sorae編集部 速報班