アメリカ航空宇宙局(NASA)は12月2日(日本時間・以下同様)、無人飛行試験中の新型宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」が予定通り月周回軌道を離れたと発表しました。
【特集】「アルテミス1」有人月面探査計画の最初のミッション
オリオン宇宙船は月面探査計画「アルテミス」や、将来の火星探査も想定してNASAが開発した有人宇宙船です。NASAは「アルテミス1」ミッションで無人飛行試験を行うために、2022年11月16日に新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」初号機でオリオンを打ち上げました。
オリオン宇宙船は11月21日に月の裏側で月面に約81マイル(約130km)まで接近して軌道を変更した後、11月26日にはDRO(Distant Retrograde Orbit、遠方逆行軌道)と呼ばれる月の公転方向に逆行するような周回軌道に入り、深宇宙環境での点検が行われていました。2022年11月29日6時過ぎにはミッションの中間点であり、「有人飛行用に設計された宇宙船が到達した最遠距離」となる、地球から26万8563マイル(約43万2210km)のポイントに到達しています。
2022年12月2日5時53分、オリオン宇宙船は1分45秒間に渡るエンジン噴射を完了して、DROを離脱しました。NASAによると、12月2日6時半すぎの時点でオリオン宇宙船は地球から23万7600マイル(約38万2380km)、月から5万2900マイル(約8万5134km)離れたところを、時速2300マイル(時速約3700km=秒速約1.03km)で飛行しています。
この後、オリオン宇宙船は12月6日に再び月面から約130kmまで接近しつつ、エンジンを噴射して地球に向かう軌道へ入り、12月12日に帰還する予定です。
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Image Credit: NASA, ESA NASA - Artemis (NASA Blogs)文/sorae編集部