こちらは「いて座」の方向約4350光年先の散開星団「NGC 6530」です。散開星団とは、恒星がまばらに緩く集まっている天体のこと。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 6350では数千個の星々が集まっています。
背景に見える赤色の煙のようなものは、いて座の輝線星雲「干潟星雲(Lagoon Nebula)」の一部です。NGC 6530は干潟星雲のなかにあり、画像では壁のように広がった星間雲(ガスと塵の雲)に彩りを添えるようにして星団の星々が輝いています。
この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」と、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するパラナル天文台(チリ)の「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」を使って取得された画像(可視光線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2022年12月12日付で公開されています。
可視光線や紫外線だけでなく赤外線の波長も捉えるハッブル宇宙望遠鏡は、星の誕生と惑星系の起源を理解するために不可欠なツールとみなされています。ESAによると、研究者は「オリオン大星雲」で最初に見つかった原始惑星体(proplyd、光蒸発を起こしている原始惑星系円盤)を探すために、ハッブル宇宙望遠鏡を使ってNGC 6530などの観測を行いました。ハッブル宇宙望遠鏡の観測で得られたデータは、これまでにない性能で赤外線を捉える「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」の観測によって補完されるということです。
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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, ESO, O. De Marco; Acknowledgement: M. H. Özsaraç ESA/Hubble - Cosmic Smokescreen文/松村武宏