アメリカ航空宇宙局(NASA)は12月9日、ドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同で2022年9月まで運用していた成層圏赤外線天文台「SOFIA」について、引退後は米国アリゾナ州ツーソンのピマ航空宇宙博物館に展示されることを発表しました。
SOFIA(Stratospheric Observatory for Infrared Astronomy)はボーイング747-SPに改修を施した“空飛ぶ天文台”です。SOFIAの機体後部には口径2.7mの反射望遠鏡が搭載されていて、地上と比べて大気に妨げられにくい高度1万2000~1万3000m前後の成層圏を飛行し、赤外線の波長で天体の観測を行います。
SOFIAによる観測は主に天の川銀河の天体を対象に実施され、水素化ヘリウムイオン(HeH+、宇宙で最初に形成された分子イオンとされる)の現在の宇宙空間における初検出(2019年成果発表)や、月面の太陽光が当たる領域における水分子の初検出(2020年成果発表)といった成果に貢献しました。
NASAとDLRによると、全米アカデミーズが2021年10月に発表した報告書「Pathways to Discovery in Astronomy and Astrophysics for the 2020s (2021)」にて、SOFIAの科学的成果は運用コストに見合うものではないと評価されたとのこと。両機関はこの勧告を受け入れ、SOFIAの運用を終えることになりました。
12月13日(現地時間)には、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地にあるNASAのアームストロング飛行研究センターから、ツーソンのデビスモンサン空軍基地に向けてのラストフライトが行われました。SOFIAは同基地で最後の準備を行った後、ピマ航空宇宙博物館に運ばれて常設展示されるということです。
【▲ ラストフライトを終えた成層圏天文台「SOFIA」(動画)】
(Credit: Boneyard Safari)
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Image Credit: NASA/Carla Thomas NASA - NASA’s Retired SOFIA Aircraft Finds New Home at Arizona Museum NASA - SOFIA’s Final Flight文/松村武宏