モントリオール大学系外惑星研究所(iREx)のCaroline Piauletさんを筆頭とする研究チームは、「こと座」の方向約218光年先の赤色矮星「ケプラー138」を公転する太陽系外惑星についての新たな研究成果を発表しました。
ケプラー138では2014年に3つの系外惑星「ケプラー138b」「ケプラー138c」「ケプラー138d」の発見が報告されています。今回、研究チームが「ハッブル」宇宙望遠鏡と「ケプラー」宇宙望遠鏡の観測データを分析したところ、ケプラー138cとケプラー138dは半径がどちらも地球の約1.51倍で、質量はケプラー138cが地球の約2.3倍、ケプラー138dが地球の約2.1倍という、まるで双子のようによく似た惑星だったことがわかったといいます。
また、ケプラー138cとケプラー138dでは「水素やヘリウムよりも重く、岩石よりも軽い」物質が最大で体積の半分を占めている可能性が示されました。この条件を満たす最も一般的な物質の候補は「水」であることから、2つの惑星は表面を深く広大な海に覆われた海洋惑星の可能性が高いと研究チームは考えています。大気の温度は主星から遠いほうのケプラー138dでも水の沸点を上回っている可能性が高く、水蒸気の厚い大気に包まれた海水は高温・高圧の下で(場合によっては超臨界流体の状態で)存在しているとみられています。
研究に参加したグルノーブル・アルプ大学のJose-Manuel Almenaraさんは、今回の成果について、さまざまな形成・進化プロセスの結果だと予想される系外惑星の大きな多様性を明確に示すものだとコメントしています。なお、研究チームはケプラー138を公転する未発見の系外惑星がもう1つ存在する可能性も指摘しています。
太陽系外の海洋惑星に関しては、モントリオール大学の別の研究チームも有力な候補として「TOI-1452 b」の発見を報告しています。ただ、これまでのケプラー138cとケプラー138d、TOI-1452 bの観測では実際に水を検出するには至っておらず、「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡による追加観測に期待が寄せられています。
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Image Credit: NASA, ESA, L. Hustak (STScI), Benoit Gougeon (University of Montreal) モントリオール大学 - Université de Montréal astronomers find that two exoplanets may be mostly water STScI - Two Exoplanets May Be Mostly Water, NASA's Hubble and Spitzer Find ESA/Hubble - Hubble Helps Discover a New Type of Planet Largely Composed of Water Piaulet et al. - Evidence for the volatile-rich composition of a 1.5-Earth-radius planet文/松村武宏