株式会社ispaceは1月2日、同社の月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1について、ミッションの運用計画に沿ってランダー(月着陸船)の2回目の軌道制御マヌーバを実施したと発表しました。同社によると、2023年4月末頃に予定されている月面着陸に向けて、ミッション1ランダーは安定した航行を続けています。
【特集】月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1
ispaceによると、ミッション1ランダーの第2回軌道制御マヌーバは日本時間2023年1月2日0時に実施され、無事完了しました。同ランダーは2022年12月15日に初回の軌道制御マヌーバを実施しています。同社によれば、今回のマヌーバ実施によって、より長時間・より地球から離れた深宇宙での軌道制御能力が実証できたということです。
ミッション1ランダーは地球や月から一旦離れた後で再び戻ってくるような軌道を描く、低エネルギー遷移軌道(low-energy transfer orbit)を航行しています。低エネルギー遷移軌道は航行するのに時間がかかるものの、少ない推進剤で月へ向かうことができます。ランダーは1月2日時点で地球から約124万km離れた地点を航行しており、1月20日頃には地球から最も遠ざかる約140万kmの地点(地球から月までの距離の約3.7倍)に到達する予定です。
HAKUTO-Rミッション1では打ち上げから月面着陸までの各段階に応じて10のマイルストーンが設定されていて、これまでにSuccess 4「初回軌道制御マヌーバの完了」までの4つが完了しました。現在は地球から最も遠ざかる地点へ向かう約1か月間の航行が続けられており、安定した深宇宙航行が可能であることの確認作業が完了すれば、次のSuccess 5「深宇宙航行の安定運用を1ヶ月間完了」が完了することになります。
なお、HAKUTO-Rミッション1ランダーには以下7つのペイロードが搭載されています。
・日本特殊陶業株式会社(HAKUTO-Rコーポレートパートナー)の固体電池
・アラブ首長国連邦(UAE)ムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC)の月面探査車「Rashid(ラシード)」
・株式会社タカラトミー等が開発した変形型の月面探査ロボット「SORA-Q(LEV-2)」
・カナダのMCSS社が開発した人工知能(AI)を用いたフライトコンピューター
・カナダのCanadensys社のカメラ
・HAKUTOのクラウドファンディング支援者の名前を刻印したパネル
・サカナクションの「SORATO」(HAKUTO※応援歌)の楽曲音源を収録したミュージックディスク
※…HAKUTOは民間初の月面無人探査を競うコンテスト「Google Lunar XPRIZE」に日本から参加したチームで、HAKUTO-Rの前身にあたる。Google Lunar XPRIZEは勝者がないまま2018年に終了。
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Image Credit: ispace, MBRSC, タカラトミー ispace - ispace、ミッション1における2回目の軌道制御マヌーバを実施完了 ispace_HAKUTO-R (Twitter)文/sorae編集部